大規模改修工事の進め方 事前の準備はどうすればよいですか

Question

築10年のマンションですが、長期修繕計画に基づき、第1回目の大規模改修工事の準備を、と管理会社が提案してきました。今後どういう準備をしたらいいのでしょうか。

Answer

建物は、建った瞬間から劣化が始まります。目につかないだけです。2~5年目で鉄部にさびが生じ、10年目ころからは塗料の劣化、壁のひび割れ、タイルの浮き、屋上の膨れやめくれ、ポンプ類の故障。15年を過ぎると給排水設備などが痛んできます。25年目ごろにはエレベーターの取り換えも出てきます。
頭の痛い問題ですが、放置すると傷はさらに深刻化します。修理費用がかさみ、資産価値も落ちます。それで、適切な時期に大規模改修工事が必要なのです。
大規模改修工事は、周到な準備が満足な結果をもたらします。まず年数にこだわらず、劣化具合を専門家に判断してもらい、計画を進めましょう。そして全体像をつかみましょう。長期修繕計画書や修繕履歴を確認します。どこを改修するか、工事部位を決めることが必要です。そしていくらくらい工事費がかかるか把握しましょう。不足するようなら、修繕積立金の増額や借入金の検討も必要だからです。大体の施工予定年度をきめましょう。大規模改修工事は春又は秋が適切です。夏・冬は、気温や降雨降雪の関係で工事品質に問題が生じ、作業ができない作業ができない日が多いからです。居住者にとっても、バルコニーの工事中はエアコンが使えなかったり、玄関扉塗装のために半日程扉を開け放しにしたりしますので、夏と冬は好ましくありません。それでマンションの改修工事は一般に春または秋に行われます。ただし秋は台風の来襲で、工事中断となるほか、足場や養生シートなどの安全対策も必要となり、工事日程に影響します。
春についても、4月は菜種梅雨、6月には梅雨入りと屋外工事ができない日が続きます。また転勤などで引越しが多いのもこの頃です。このように春・秋いずれも問題があります。大切なのはこれらの問題点を乗り越えていかに円滑に工事を進めるかです。
大規模改修工事の概要がまとまれば広報しましょう。「理事会だより」や掲示板が有効です。総会に議案として提案し、「〇〇年秋頃に大規模改修工事を実施します」という決議の承認をとることも重要です。修繕委員会の発足や設計監理方式か責任施工方式かも、その際方向性を定めることも大事です。
大規模改修工事は発意してから完了まで2~3年はかかります。周到な準備こそ大事な基本です。