マンションの値下げ販売は不当・兵庫県住宅供給公社の上告を棄却

【平成19年11月2日最高裁】

兵庫県住宅公社は、阪神・淡路大震災の災害復興住宅として建てた「マリナージュ芦屋」(203戸・安藤忠雄建築研究所設計)を平成10年平均3千4百万円で分譲開始したが、売れ残った70戸を平成14年約半額に値下げして完売した。

これに対して値下げ前に購入した67戸の住民は「値下げでマンションの価値が下がった」として1戸当たり800万円の損害賠償を求めて神戸地裁に提訴した。神戸地裁では「値下げは売残り解消に必要で、値下げ幅は相場からかけ離れていない」として住民側の請求を棄却した。

しかし、控訴を受けた大阪高裁では「公社は一般の分譲会社よりも価格を適正に維持する義務がある。完売を急ぐあまり半額にし、市場価格を1割以上も下回り、著しく適正を欠く」として、精神的な損害として1戸当たり百万円の慰謝料と弁護士費用10万円を認めた。経済的な損害は認めなかった。

公社側はこの判決を不服として最高裁に上告したが、最高裁は平成19年11月2日公社側の上告を棄却した。(神戸新聞 2007年11月2日)