ペット飼育トラブルを円満に解決

ウイン・ウインの解決ができた事例紹介

ペット飼育は、違法駐車、騒音とともに、マンション居住者の3大トラブルといわれており、解決が難しい問題です。
福岡市内の築25年のあるマンションでは、ペットを隠れて飼う人がかなりいましたので、管理規約を改正して「ペット飼育可」にしました。ただし、次のとおり、厳しい飼育ルールを作りました。

改正管理規約
〈ペットの飼育〉
第○条 ペット飼育を希望する区分所有者及び占有者は、使用細則及びペット飼育細則を遵守しなければならない。ただし、他の区分所有者又は占有者からの苦情の申し出があり、改善勧告に従わない場合には、理事会は、飼育禁止を含む措置をとることができる。

ところがこのマンションに、歩行が不自由な85歳を過ぎた高齢者の方が一人で住んでおられる住戸がありました。その方は、中型犬を飼っておられますが、介護の方が訪問され、玄関ドアを開けますと、犬が待ち構えたように共用廊下に飛び出し、走り回るのでなかなか捕まえることができません。
廊下を通行する他の人は、犬に吠えられ、怖くなって管理組合にどうにかしてほしいと申入れをしました。
管理組合は、理事会を開いて対処策を検討しました。そうして、まず、近くに住んでいる長男の方にクレームが来たことを伝えました。長男は、高齢者の母と話あったのですが、犬が自分の生きがいであり手放せないといっているので、飼育の継続を許してほしい、とのことでした。
理事会で審議しましたが、良い解決案が浮かばず、最終的には、規約に従い飼育禁止の訴訟もやむを得ないとの意見も出ました。しかし、理事長は、このような問題は、訴訟で解決するケースではない、と主張し、ペット問題は理事長預かりとなりました。
理事長は、犬は、猫と違って運動が習性であり、運動不足のために外に飛び出すものであるから、その対策を考えました。
そうして、他に犬を飼育している人に相談したところ、「自分は、毎朝犬の散歩に出ており、一匹でも二匹でも同じだから、その犬も一緒に散歩に連れて行っていい」とのことでした。そうして、その後、毎日一緒に散歩に連れていってもらうようになり、一件落着のように見えました。
しかし、まだ、問題が残っていました。介護や他の人が訪問して玄関を開けると犬は廊下へ飛び出すのです。習性なのでしょう。
その理事長は、さらに他の人に相談したとろ、玄関にペットゲートを置くことをアドバイスされ、早速長男に伝え、実行されて、犬の運動不足は解消し、飛び出しも防止できたということです。
マンションは、一つ屋根の下に住む間柄であり、訴訟は好ましくありません。このように、両者が納得のいく解決を見つけ出し、「ウイン・ウイン」の結果になったことは、非常に喜ばしいことです。

福管連では、顧問弁護士や一級建築士、マンション管理士を調停員とするADR(裁判外紛争解決)実施の認証を法務大臣から受けています。マンション紛争は、福管連のADRを利用して、双方が勝者になる「ウイン・ウイン」を目指してください。
【マンションライフ福岡2015年春季号掲載記事】