落書は「建造物損壊」と最高裁判決
【平成18年1月17日最高裁】
- マンションへの落書きにも大きな警鐘 -
東京都杉並区の公園の公衆便所の外壁にスプレーで大きく落書きした男性に、東京高裁は建造物損壊として懲役1年2か月執行猶予3年の判決を言い渡し、最高裁で争われていました。
この上告に対して、最高裁は平成18年1月17日上告棄却の判決を言い渡しました。この公衆便所は、白色の外壁にするなど公園の施設にふさわしいように、外観、美観に工夫が凝らされていました。被告人は、この建物の外壁に赤と黒のスプレーで「スペクタクル社会」「反戦」などと大きく落書きしたものです。この落書きを完全に消すためには、壁面の再塗装が必要で約7万円の費用がかかるものです。
最高裁は、この落書き行為は「建物の外観ないし美観を著しく汚損し、原状回復に相当の困難を生じさせたものであって、その効用を減損させたものというべきであるから、刑法260条にいう損壊に当たる」としたものです。
マンションでも外壁や塀に大きく落書きされることがあり困惑していますが、この判決は落書き者に大きな警鐘を鳴らすものです。
福管連にも、落書きに関する相談があります。警察への被害届、告訴ができることはこの判決のとおりです。従来、警察は軽犯罪法違反や条例違反として扱うことが多かったので、この最高裁判決は画期的判決といえます。
マンション保険で、汚損・破損が含まれていれば消去費用に保険金が出ることもあります。
また、各県の市役所や区役所で落書き消しを支援している所も少なくありません。落書き消しの講座を設けたり、薬剤やブラシ等の支援をしています。落書き被害にあったときは、行政機関に相談してみてください。