業務知識・判例
「マンション大規模改修」最近の建設業界の動向
 ここ2,3年マンション大規模改修工事の件数が増える傾向にありますが、その主な原因として考えられるのは
  1. 福岡でマンションが建ち始めて50年近くが経過し、その後も着工件数が増え続けている。
  2. 築25年以上のマンションが累積して増え第2回目、第3回目の大規模改修工事を行っている。
  3. 区分所有者の意識が向上し、国交省のマンション再生マニュアルに基づく大規模改修を概ね12年サイクルで行なうことが一般化してきた。
  4. 平成20年建築基準法の改正により建物が竣工してから10年を超えているもの、外壁改修工事を10年を超えて行っていない外壁がタイル貼、接着モルタルによる石貼やモルタル塗仕様の建物は外壁の全面打診調査が義務化された。
    等々があると思われます。
 上記のような現況の今、建築工事の現場では工事費の高騰、工期の遅れ、資材の不足等、多くの問題が発生しています。
その原因としては更に
  1. 東日本大震災復興関連の建設工事が今後数年は継続すると考えられ、九州の建設業就業者の多くが現地入りをしている。
  2. 2020年開催の東京オリンピック関連の建設工事が本格的に急ピッチで進められ上記に同じく九州の建設業就業者の多くが現地入りをしている。
  3. 熊本地震復興関連の建設工事においても、建設業就業者、仮設足場等資材共に不足しており大変な状況になっている。
  4. 福岡市等官庁発注の公共住宅、学校関連の改修工事も多数発注されており建設業就業者不足に加え社会保険加入を推進する目的での法定福利費を含む発注金額により労務費の実勢価格が高騰している。
 上記に示すように今、建設業界は混乱していますが、その最も大きな要因は、建設業就業者の高齢化と人材不足にあると言われています。2010年総務省の国勢調査によれば、60歳以上の建設技能労働者は52万人存在し、全体の約18%であり、10年後には彼らの大半は引退することになります。それに対して、今後若い世代の入植者が増えることは期待できず、特に25歳以下の若年層の建設業就業者の数が急激に落ち込んでいるのが現状です。一定の技術を備えた技能労働者を育成するのに10年はかかる、と言われる中で、建設業就業者の賃金や労働環境が早急に改善されなければ問題は解決しないのではないでしょうか。

 真夏や真冬の厳しい時期も含む、容易ではない労働条件の彼らに対する対価が適正な状態でなければ、若年入植者の確保は期待できるはずもありません。東京オリンピックが終われば景気も沈静化し落ち着く又は、冷え込むという意見も聞かれますが、建設業者数はピーク時の平成11年から約22%減、建設業就業者数はピーク時の平成9年から約27%減となっている現状の中、景気の動向は解りませんが、工事費の高騰化、技術者不足には波はあるにしても当分の間続く可能性が高いと思われます。
(株)松澤建築設計事務所 取締役会長 一級建築士 松澤 康博


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