業務知識・判例
国交省 管理規約改正案で「地域コミュニティ」条項を削除?
逆に管理費のコミュニティ経費使用を認めた高裁判例!


 国土交通省は、近く、標準管理規約改正案について意見を公募します。
 規約改正案の中でもっとも世論の反発を招きそうなのは、現行規約27条(管理費)「管理費を地域コミュニティも配慮した居住者間のコミュニティ関する費用」への使用を削除する案でしょう。改正案では、次の最高裁(H17.4.26)及び東京高裁(H19.9.20)の判例を引用して、「このような判決から、管理組合が自治会費を徴収するのは、管理の目的外業務であり、管理費から支出することは無効」と断定しています。果たしてそうなのか。判例を紹介します。

                    ◇            ◇
  1. 「退会を制限する規定がない」から退会申込は有効(最高裁 H17.4.26)
     組合員が自治会退会を組合に通知したにもかかわらず、自治会費を返さなかった事案です。
     最高裁では、「規約で会員の退会を制限する規定を設けていないので、会員はいつでも一方的意思表示により退会でき、既に支払った自治会費は返すべき」と述べています。国交省のいうような「自治会費の徴収は、管理組合の目的外業務であるから無効」とは述べていません。

  2. 自治会費は管理組合が代行徴収したものであり返還すべき(東京高裁 H19.9.20)
     これも、自治会退会を組合に通知したにもかかわらず、自治会費を返さなかった事案です。
     管理組合は、自治会費は自治会に委託している業務の対価と主張しましたが、高裁では、実質は管理組合が自治会に代わって自治会費を代行徴収しているものであり、自治会は加入を強制されない団体である上、自治会規約においても会員の退会を制限する規定がないことから、会員は一方的意思表示で退会でき、徴収した自治会費は返還すべきと判示しています。
     「自治会にコミュニティ形成業務に見合う委託費支払いは適法」と付言
    しかし、この判決文は、付言として、「コミュニティ形成は重要。管理組合の管理範囲と自治会の活動範囲が一致しているときは、管理組合が自治会にコミュニティ形成業務を委託し、委託した業務に見合う業務委託費を支払うことは、区分所有法に違反しない」と判示しています。この判決文でも、自治会費の徴収は管理組合の目的外業務であるとは述べていません。

  3. 管理費から町会費を支出することは目的の範囲内 (東京高裁 H24.5.24)
     前の2例と異なり、管理費から町内会費を支出する総会決議を有効とした事案です。
     規約で「官公署、町内会等との渉外業務」は管理組合の業務として定められ、さらに規約で「本件マンションの区分所有者または占有者は町内会に加入すること。その場合、名目の如何を問わず町内会費の負担があり、管理費に含んで徴収される、と定められており、町内会と良好な関係を形成し、地域と調和の取れた環境を作り出すために活動をすることは、管理組合の業務と解される。この業務は、管理組合の構成員である区分所有者の承認のもとに行われるものであるから、それに伴って必要となる費用は、管理組合の業務執行に伴う費用として管理費から支出することができるものであり、町内会費はその費用ということができる。」としています。
 判決文の最後に「最高裁判決(H17.4.26)は、県営住宅(団地)の入居者と団地の住人によって構成される自治会に退会の意思表示をした者に対する自治会費等の請求の当否の問題であり、本件と事例を異にし、この判決で結論が左右されるものではない。」と述べています。


Copyright(C)2014 PICT. All rights reserved.