業務知識・判例
― 「暴力追放広島県民会議」が暴対法改正後全国初の代理訴訟 ―
組事務所使用差し止め訴訟で和解成立
 日本経済、産経、読売、毎日等報道各紙によりますと、広島市中区のマンションに指定暴力団共政会系組事務所があるため生活が脅かされたとして、付近の住民が公益財団法人「暴力追放広島県民会議」に暴対法に基づき訴訟代理を委託しました。
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 暴力追放広島県民会議は、平成26年2月、付近住民24人の委託を受けて組側に対して、組事務所の使用差し止め請求訴訟を広島地裁に提訴しました。広島地裁では、判決を待たず、平成27年1月28日付で和解が成立しました。組側は、すでに組の紋章や監視カメラを撤去し、建物を明け渡しているとのことです。
暴追県民会議による代理訴訟が少ない二つのハードル
 住民から委託を受けた暴追県民会議による代理訴訟提起は、全国で、今回が初めてとのことです。
 代理訴訟制度は、暴対法の改正により、平成25年1月から導入されていますが、全国47都道府県の暴追センターのうち、代理訴訟ができるための適格団体の認定さえ受けていない暴追センターが、13道県あるという現状です。
住所が知られたり証人となること
(1) 代理訴訟が少ない理由の一つは、訴訟において、原告となった住民の氏名が裁判資料に記載されたり、組合員の面前で証言する場合があり、住民側で顔や名前を知られることによる報復を恐れてのことと推察されます。
 九州の訴訟事例では、組事務所の使用禁止と裁判所執行官保管の仮処分申立事件が一段落し、本訴で原告の住民が組事務所使用禁止請求と合計約2億2千万円の慰謝料請求訴訟をしたときに、住民側が、長年組事務所によって苦しめられてきたことの立証について、テレビモニターを利用したり、衝立をたてた上での証言を申立てましたが、裁判所は却下し、組員らの面前で証言をせざるを得ませんでした。
 今回は、報復への不安を地裁が配慮し、裁判資料に氏名を明記しない異例の措置が取られたとのことです。このような配慮がなければ、代理訴訟の全国的な拡大は望めず、絵に描いた餅になるのではないでしょうか。
代理訴訟の費用はだれが負担する?
(2) 代理訴訟が少ない二つ目の理由は、訴訟に掛ける費用の予算が少ないことです。代理訴訟1件に、弁護士費用や印紙代が300万円以上かかるといわれています。広島の代理訴訟の場合は、暴力追放広島県民会議が、寄付金などで賄ったとのことです。しかし、住民の保護を考えると、国や都道府県の予算で、代理訴訟ができるように、予算の手当てをすべきではないでしょうか。


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