業務知識・判例
大阪の管理会社従業員 管理費等2億9百万円を横領
− 初歩的金銭管理を手抜き あなたの管理組合は大丈夫? −

 国土交通省近畿地方整備局は、大阪ガスコミュニティ(株)(大阪市中央区)に対し、平成26年4月14日、90日間の業務停止処分及び指示処分を行いました。そのうち、業務停止という重い処分が出された理由は、次のとおりです。

  1. 同社従業員(懲戒解雇済み)が管理組合財産を着服、うち1管理組合は管理組合の保管口座の印鑑を預かり、使用して管理組合の財産に損害を与える著しく不当な行為があった。

  2. 複数の管理組合で、管理組合名義の保管口座の印鑑を保管していた。

  3. 複数の管理組合の管理者に対し、管理業務主任者から管理事務の報告をさせなかった。
 これに対して、大阪ガスコミュニティ(株)は、平成26年10月7日、ホームページに「お客様各位」宛てに「ご報告とお詫び」の文書を掲示しました。

 これによりますと、管理員は、1居住者から預かった管理費等の現金を入金せず着服、2不正な手段で引き出した、3発覚を防ぐために、会計書類を偽造した、とのことです。同社はこの事件を受けて、他の管理組合を緊急点検したところ、新たに、別のマンションで管理費等として預かった現金を入金せずに着服していた事案が見つかりました。

事案の概要
項 目
不正が行われた期間
不正取得金額
対象マンション
管理員経験年数
事案1 平成18年7月〜26年9月 約2億6百万円 大阪市 1物件 管理員歴8年
事案2 平成18年9月〜26年9月 約3百万円 大阪市 1物件 管理員歴12年
 事案1、事案2とも、嘱託管理員が、管理組合の会計・出納業務も担当していました。

 事案1では、50代の嘱託管理員が、預かった管理組合の印鑑を使用して白紙の伝票に押印し、居住者が振り込んだ金を管理組合の口座から勝手に引き出すなどして、計約2億6百万円を着服、通帳明細のコピーを偽造して発覚を免れていました。このマンションでは、管理費等の現金納入も認められていましたが、管理員はこれも口座に入れず、着服していました。

 事案2では、60代の嘱託管理員が、居住者が管理員室に持参した管理費等を口座に入れず、計約300万円を着服しました。居住者には、管理員が作成した領収書を渡していました。管理組合では未納となり督促状を送るのですが、これを管理員が郵便受けに投函することになっていました。しかし、管理員は投函せず、発覚を免れていました。

 同社では、この5年で従業員による管理費等の横領事件が5件発生しており、そのつど「この事態を真摯に受け止め、再発防止に取組んでいく所存」と「お詫び」を表明していますが、大阪ガスの関連会社としての甘えや経営の緩みがあるのではないでしょうか。
<管理組合もこの事件を「他山の石」として事故防止に努めよう>
  1. 管理組合、管理会社とも、管理費等の現金収納は行わない。すべて、金融機関口座収納。
  2. 管理会社の業務であっても、出納・会計を同一人に2年以上は担当させない。
  3. 責任者(理事長、会計理事等)の印鑑は、絶対に他人に預けない、押印させない。
  4. 監査や内部検査の証拠資料は、すべて原本・現物で行い、コピーでは行わない。
  5. 委託契約書9条2項の月次収支報告は、B/Sを含め、会計理事(監事)が検査を行う。


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