業務知識・判例
マンション管理組合の業務と課税問題
− 駐車場の外部貸し・基地局・自販機・集会室収入などの税務は? −
新郷税理士事務所
税理士 新郷道明
塩川健太

●管理組合の収益事業と税務申告の現状
 マンション管理組合は、一般的に営利事業を行っていないため、通常、税務申告する必要はありません。しかし、税務上の収益事業(外部への駐車場貸出し等)に該当する行為を行っている場合には、税務申告が必要となってきます。現状、マンションの税務申告をされているところは少ないと思います。申告されていない一番の原因は、税務上の取り扱いが、はっきりしていないことではないかと思います。

 しかし、平成24年2月に国税庁からマンション駐車場の外部貸出しに関する取扱いを定めた文書が明示されたことや、平成25年10月に携帯電話基地局設置の賃貸が収益事業に該当するため法人税の課税対象になる等、徐々に具体的かつ明確になりつつあります。

●管理組合の税法上の位置づけ
 マンション管理組合は、税法上、人格のない社団等となります。この人格のない社団等とは、法人でない社団又は財団で代表者又は管財人の定めがあるものをいいます。そして、この人格のない社団等に該当すると、収益事業を営む場合に限って法人税が課税されます。(収益事業を行っていなければ、法人税の課税はありません。)
人格のない社団等の定義 多数の者が一定の目的を達成するために結合した団体のうち法人格を有しないもので、単なる個人の集合体でなく、団体としての組織を有して統一された意思の下に、その構成員の個性を超越して活動を行うものをいう。(基通1-1-1)

●管理組合の収益事業とは?
 (法人税が課税される取引)
 携帯電話中継基地局設置のための賃貸は、収益事業に該当
 管理組合等は、お金儲けをするわけではないのに、税金を支払わなければいけない?(国税不服審判所:裁決:平成25年1月22日より)
 営利を目的とするものではないが、一般企業と競合する事業を行う場合(つまり、収益事業)には、一般企業との課税のバランス、又課税の公平性を考慮して、収益事業に対する利益には、法人税を課税することとしたものと解されます。

●税務申告に該当する収益事業の3つの要件とは
(1)販売業、製造業その他政令で定める34業種(不動産貸付業など)
(2)継続して行う事業

管理組合の収益事業 収益事業判定
1 駐車場貸し  全部課税・一部課税・非課税
2 携帯電話基地局(アンテナ)の貸付 課税
3 太陽光発電の売電収入 課税
4 会議室、ゲストルームの貸出し 外部者のみ課税
5 CATV、インターネットの設備設置収入 実費相当額以上が課税
6 コインランドリー、自動販売機収入 原則課税
7 電柱設置収入等 原則課税

(3)事業場を設けて行う業務(マンション内が事業場とみなされる)
●収益事業に係る経費は、直接経費と共通経費
 (1)直接経費 外部駐車場募集に要した宣伝費、仲介手数料や管理組合が取得した太陽光発電の設備の減価償却やメンテナンス費用等
 (2)共通経費 管理会社への委託費、電気料等
 税金申告には、管理費・修繕積立金の収支計算だけではなく、収益事業の損益計算等との区分経理が重要

●まとめ
 昨今、管理組合の税務申告漏れが増えているという記事が見受けられますが、これは、マンション管理組合の方々が、管理組合の収益は法人税が非課税であるという認識が強かったからではないでしょうか。このような誤解をなくすには、マンション管理組合(人格のない社団等)でも、収益事業を営む場合に限り、申告義務が発生することを、まず、理解していただくことが重要です。税金が絡んでくる収益事業を行う際は、税というコストも意識し、マンション管理組合として、どう対応していくかが大切であると思います。
相続税の基礎 控除の改正
改正のポイント
相続税の課税対象のボーダーラインである基礎控除額が大幅に見直され、次のように減額されます。
相続税の基礎控除について、現行の「基礎控除5000万円+(1000万円×法定相続人数)」が「基礎控除3000万円+(600万円×法定相続人数)」に見直され、従来の基礎控除額より4割引き下げとなります。

■適用時期
 平成27年1月1日以後に相続または遺贈により取得する財産に係る相続税について適用されます。

■ 実務的な対応
 まず、基礎控除額が減少することを認識すること。現行より4割カットとされるため、相続税が無縁と考えている方々も今後、課税対象となる可能性があることの認識が必要です。

■相続税概算額はいくら・財産目録の作成
 おおよその相続税額を知りたい場合、ご自分で財産の種類毎に財産目録を作成します。マンション(土地・家屋)・預貯金(預金残高の合計)・上場株式(非上場の株式を所有であれば、非上場分も加える)・生命保険金・ゴルフ会員権(時価の7割)等の金額を記載します。また、上記のプラスの財産から、借入金(住宅ローン等の団体信用生命保険などに加入している場合は、保険金で借金が消滅される場合は除く)や税金(固定資産税や市県民税等)及び葬式費用等の支払い義務があるマイナスの財産を差し引きます。 
 差引いた財産(プラスの財産−マイナスの財産)が上記、基礎控除額を超える場合は、相続税の申告が必要となります。

■ マンションの相続税評価について
 マンションの相続税評価は家屋と敷地(土地)に分けて評価します。
まず、家屋の評価方法ですが、毎年4月頃に市区町村から送ってくる固定資産税の納税通知書を見て頂き、家屋の評価額となります。次に、敷地(土地)の相続税評価は、路線価か評価倍率方式に持分(自己が所有する敷地面積相当)をかけて求めることになりますが、専門知識が必要になるため、分からない場合は、時価(世間相場)の8割を目安にして記載して下さい。
マンションは、一般的に一軒家よりも評価額は低くなります。理由は、専有面積の広さに対して、敷地(土地)の持分が小さくなる点にありますので、どうしても、敷地の評価が分からないときは、一旦、固定資産税の土地の評価額を財産目録に記載して下さい。

■ いつまでに相続税の申告をすればいい?
 相続税がかかるようであれば、相続の開始があったことを知った日(亡くなったことを知った日)の翌日から10ヵ月以内に申告書を所轄税務署へ提出しなければなりません。

■相続税の節税及びポイント
 相続税がかかる、かからないは別にして近年、相続人同士で、もめる相続(争族)が多くなっています(相続人が多いほど発展しがちのようです)。その防止策の一つとして、生前に家族に対して自分の想いを伝えておくこと、家族同士で話し合いの場を設けること、また遺言を法的な形で残す公正証書による遺言書(公証役場)を作成することは、非常に大切だと思います。相続トラブルを防ぐようにすることは、今後のご家族のためにも必要であると思います。

 また、概算の財産目録で相続税が、かかりそうな場合は節税策として、生前にお子さん・お孫さんに贈与を活用することは有効だと思います。年間110万円までの非課税贈与を活用することや教育資金の一括贈与(金融機関を通して1,500万円まで非課税)、障がい者に対する贈与税の非課税(信託銀行等を通して障がいの重さにより3,000万円・6,000万円まで非課税)等がありますので、詳しく知りたい場合は、税理士・税務署にお尋ね下さい。

 上記のような、税制を上手に活用することは節税にもつながりますが、筆者が思う最もの節税対策は、ご本人が健康で長生きすることだと思います。



Copyright(C)2014 PICT. All rights reserved.