業務知識・判例
工事の妨害、共同利益背反行為
− 専用庭への足場設置を区分所有者が拒否 −

<事案の概要>
 「区分所有者の1人の妨害でベランダ鉄部塗装工事ができなくて再工事を余儀なくされた」などとして、横浜市のマンション管理組合は妨害区分所有者に追加費用約17万円の損害賠償を求めていた訴訟の上告審判決が平成26年2月3日、東京高裁であり、管理組合の請求を認めた原審を支持し、区分所有者の上告を棄却しました。

 マンションは築32年で、2・3階建て(8棟・34戸)の低層住宅。
 管理組合はベランダ手すりの鉄部塗装工事を定期総会で決議し、工事業者が工事を始めたが、1階に住む区分所有者Xが専用庭への足場設置を拒絶。その棟だけ工事ができず、翌年に理事会役員らが見守る中、同じ工事業者が再度足場を設置しようとすると、Xは警察に通報しました。出動した警察官は現場の状況を判断し取り合わず、予定通り工事は完了しました。管理組合は追加工事代16,000円をXに請求しました。

 管理組合は総会で工事項目も示し予算承認されていましたが、Xは「工事の承認権は総会に限定されており、予算承認だけの支出は認めていない」と反論していました。

<判決の要旨>
1審の簡易裁判所は判決で工事を中断させた行為を「共同の利益に反する行為』と指摘し、「総会決議の存否につき、事故の思い込みや規約の独自の解釈により誤った判断をした結果、妨害行為をしたのであるから、損害を賠償しなければならないとした」と管理組合の請求を認めました。
2審の地裁は予算承認の総会で全員賛成し可決した点を指摘した上で、共同利益背反行為を認め、控訴を棄却しました。
 (マンション管理新聞平成26年3月5号より)
 福岡市内のマンションで、専有部分内に工事業者の立ち入りを拒否し、専有部分内の共用竪管更生工事ができなくなり工事が大幅に遅れたため、管理組合が妨害した組合員に対し損害賠償を求め訴訟、その判決では損害賠償が認められた事案があります。


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