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<判例紹介>  理事長の助っ人になる判例紹介(19)

滞納管理費請求訴訟 弁護士費用は全額支払え
−東京高裁 平成26年4月16日判決−
 東京都千代田区のマンションの区分所有者Yは、平成22年9月分から平成25年8月分まで管理費等約460万円を滞納しました。

 管理規約に「区分所有者が管理組合に支払うべき管理費等を期日までに支払わないときは、管理組合はその区分所有者に対して、年18%の遅延損害金及び違約金としての弁護士費用を加算して請求できる」と定められていますので、管理組合Xは、滞納したYに対して、(1)460万円の滞納管理費等のほか、(2)年18%の確定遅延損害金130万円及び支払済みまでの未確定遅延損害金、(3)訴訟追行に伴う弁護士費用(着手金、報酬、消費税)102万円及び年5%の割合による弁護士費用の遅延損害金の支払を求めて東京地裁に提訴しました。

 東京地裁で、区分所有者Yは、管理組合と支払方法を協議中であり、協議が継続している間は、管理費等の支払は猶予されているものと主張しました。

 これに対して、東京地裁は、「未払管理費の支払猶予の合意は成立していない。Yは規約により弁護士費用の支払義務も負っているが、弁護士費用は確定額ではないので、裁判所で認定されるべきものとして、請求額102万円に対して、50万円が相当である。」とし、その他は、Xの請求を認めました。
「違約金としての弁護士費用」は見直しが望ましい−東京高裁
 Yは、判決を不服として東京高裁に控訴し、Xも附帯控訴しました。
 東京高裁では、「違約金としての弁護士費用」が論争の中心となりました。
 裁判長は、「一般に債務不履行に基づく損害賠償請求をする際の弁護士費用は、相手方に請求できないと解されるが、これでは、管理組合にとって、所要の弁護士費用や手続費用が持ち出しになってしまう。区分所有者に当然履行すべき義務を求めているにすぎないことを考えると、衡平の観点から問題である。

 管理規約には弁護士費用を違約金として請求することができると定めている。このような定めは合理的である。違約金の性格は違約罰(制裁金)と解するのが相当であり、この趣旨から、管理組合が弁護士に支払義務を負う一切の費用の請求が認められる。」と断定しました。つまり、地裁では、弁護士費用が50万円認められたのに対し、高裁では、102万円全額が認められたのです。

 しかし、判決文の中で、「違約金としての弁護士費用」は「管理組合が負担する一切の弁護士費用(違約金)」と定めるのが望ましい、と指摘しています。国土交通省の標準管理規約及び私たちの管理規約の見直しが必要です。
本件は、区分所有者Yから最高裁に上告されました。


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