業務知識・判例
− きっかけは落雷でした! −
カーシェア 導入の経緯

 当マンションは48戸、築後9年の分譲マンションです。駐車場は48台分。
 うち11台が2階建て立体駐車場でした。2014年4月、敷地内に2台のカーシェアを導入しました。

 導入検討のきっかけは、立体駐車場への落雷でした。3連休の中日、落雷により立体駐車場の制御盤が壊れ、入出庫ができなくなりました。交換部品がなく、4,5日復旧できませんでした。今後10年の立体駐車場の修繕維持に必要な費用は約2,500万円。この数字は、修繕積立金の倍増を意味しました。駐車場は共有資産なので全員で負担しますから、駐車場を使わない方も積立金は倍増するわけです。

 この出来事を皮切りに、理事会は立体駐車場の撤去を目標とし、駐車場2階部分の5台を別の場所に移す画策を始めました。そもそも平置きにできる面積がないことから立体駐車場を作ったわけですから、移設の可能性はゼロでした。そこで考えたのが、自家用車を手放してもらうというアイデア。まず思いついたのがレンタカーです。しかし、当時レンタカーは駅前にしかありません。駅まで15分の立地にある当マンションでは、この代替案は成り立ちませんでした。次に考えたのがカーシェアリング。これも駅前にあるため、そのままでは提案できません。

 そこで理事会が企業に相談したのが、マンションの1階にカーシェアを設置していただくことでした。関東圏では、新築マンションにカーシェアをセットしている物件が出始めています。既存マンションに後付けするには、総会承認はもちろん、近隣への配慮、そして地域自治会への説明も必要となります。これは見方を変えれば、一棟の限られたユーザー数ではなく、町内に潜在する顧客を固定ユーザーとして取り込めるということでもあります。
マンション外の方が利用することは固定ユーザーの確保につながり、本サービスを継続提供するための重要な要素となるのです。

 マンション総会でも策を講じました。この議案は、当マンションに限定したサービスではない点で、受け止め方が二分されることを予測していました。具体的な対策として、事前説明会を行い、感触を確かめながら総会で決議するという二段構えを取りました。

 本議案の焦点は、個々の家計と資産価値に当て、関連議案としてセキュリティカメラの再配置、セキュリティ会社の変更、立体駐車場の撤去と平置き駐車場の新設を提案し、網羅的な議案作りを行いました。

【本議案の焦点】

  1. 家計軽減…家計における自家用車の費用は高額な固定支出です。駐車場代とガソリン代などが月額2万円以内の方は、カーシェアの方が安価です。
  2. 資産価値向上…マンションの資産額が数百万上がるということではなく、具体的には「1階駐車場にカーシェアあり」といった不動産表示がなされます。

 ドライにいえば、個々の家計は理事会の範疇ではありませんが、江戸時代の長屋文化的な今回の発想は、これからの既存マンションのあり方を大きく変えるものになると思います。

ロワールシティフォレスト室見管理組合 前理事長 辻野 英志


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