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<判例紹介>  理事長の助っ人になる判例紹介(18)

「専用庭に設置した物置は撤去せよ」 東京地裁判決
 Aは、昭和53年7月25日、東京都台東区所在のマンションの専用庭がある1階102号室を購入し、ただちに入居しました。そうして、専用庭に多くの物置を設置しました。

 管理組合は、平成11年8月11日に建物使用細則を定め、「専用使用部分の外観、形状の変更」及び「ベランダ等に設置型物置を設置すること」を禁止しました。さらに、平成23年3月13日に専用庭使用細則を定め、「物置の設置」及び「その他専用庭の通常の用法以外の使用」を禁止しました。

 管理組合は、違反者に対して是正を求め、ほとんどの者は是正または是正を約束しましたが、Aは、是正しませんでしたので、平成23年10月23日に開催の通常総会において、Aに対して、物置撤去の訴訟その他法的手段をとることを決議し、東京地裁へ提訴しました。
  1. 訴訟における物置設置者Aの主張
    (1) 建物使用細則は平成11年に制定されたが、その後A以外の区分所有者を含めて、少なくとも10年間は物置等を設置し続けたが、問題視されることはなかった。
    (2) 専用庭使用細則の規定は、Aの権利に特別の影響を及ぼすから、総会の特別決議だけでは足りず、Aの承諾が必要であるが、承諾を受けていないから、規定は無効である。
    (3) 物置の撤去は、30万円程度の費用がかかるが、管理組合は代替措置を講じていない。
    (4) 昭和50年以来物置を設置しているが、これまで他の権利を侵害する等の問題はなかった。
    (5) 理事長その他の役員も物置を設置するなどの違反行為をしている。
    (6) 101号室の専用庭には、コンクリートが打設されている。
    (7) 他の違反者は問題にせず、Aだけを提訴したのは著しく不平等で権利の濫用である。
  2. 訴訟における管理組合の主張
    (1) 物置設置行為は、専用庭使用細則及び建物使用細則に違反する。
    (2) Aは、規約及び各使用細則に基づき、物置を撤去する義務がある。
  3. 裁判所の判断
    (1) Aは、専用庭使用細則等の規定は自分の権利に特別の影響を及ぼすから、物置設置禁止の規定は、Aの承諾を得なければならないと主張するが、本細則は、規約と違い区分所有法の適用はなく、法の特別の影響を受ける者の承諾が必要との規定は適用ないものと解する。
    (2) Aの物置設置行為は、専用庭使用細則に違反すると解され、物置を撤去する義務がある。
    (3) 理事長その他の役員は、物置などを設置していたが、大部分は撤去している。
    (4) 101号室は、専用庭にコンクリートを打設しているが、これは野良猫の糞害が発生して非衛生的な状態になったので、理事会が総会に提案し、特別決議で可決承認され、管理組合が専用庭にコンクリートを打設したものである。
    (5) Aは、管理組合の理事らが規則違反行為をしているのに、自分に対してだけ著しく不平等な扱いをしており、権利の濫用に当たると主張するが、たとえ、A以外の者が規則違反を行っていたとしても、Aの規則違反行為が免責されるものではない。
    (6) Aは、違反行為が現実の支障はないというが、そのことが免責の理由とはならない。
    よって、Aは物置を撤去せよ、訴訟費用は全額Aの負担との判決が言い渡されました。


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