業務知識・判例
あれから足かけ10年― 西方沖地震で学んだ助け合いのメニュー

福岡市地域活動アドバイザー
阿比留 哲
(防災士・福岡マンション管理組合連合会顧問)

 あの日からから10年目−福岡県西方沖地震は平成17年3月20日(日)午前10時53分、突如発生し、福岡、佐賀の住民に大きな衝撃をもたらしました。マグニチュード7.0、最大震度6弱の烈震は、惰眠を貪ってきたかのような私たちを一瞬に覚醒させました。これをきっかけに官民の間で改めて地震災害に対する備えの必要性が強調されるようになったのです。

 福岡市内では、中央区のあるマンションが、さっそく県内のマンションに先駆けて自主防災会を立ち上げたり、福岡マンション管理組合連合会が抜く手もみせずマンションの地震対策マニュアルを作成するなど先駆的動きが形として現れ始めました。
防災から減災へ
 平成25年6月に公布された改正災害対策基本法は「物理的被害を防ぎきることは不可能」と言い切り、災害に向き合う基本理念を防災から減災の方向へと舵を切っています。国家として「完全無欠に対応することは困難である」ということを認めているわけです。
 国や自治体に全てを委ねがちだった私たちも、これからは一人ひとりが応分の責任を背負う自助、共助により「被害の最少化を図る」ことが求められます。
高齢者に多い犠牲者
 阪神・淡路大震災では死者6,434人のうち、33%が70歳以上の高齢者で、倒壊家屋などによる圧死が死因の大部分を占めていました。
 東日本大震災でも犠牲者18,524人(うち2,640人は行方不明者)に占める高齢者の割合は高く、70歳以上が45%でした。死因は91%が津波による溺死だったと言われます。高齢者は概ね意思に行動が伴わなくなりがちです。
 高齢化は容赦なく進みます。人口に占める70歳以上の割合は、例えば福岡県の場合17.2%で、国全体の16.4%を上回っています。高齢者への対処を災害対策の中にどのように組み込んでいくかが大きな課題になっています。
絆こそ共生の力
 あるマンションは、住民の絵画や書道教室が情報共有化の場になっているところもあります。このマンションではそこから防災会立ち上げの機運が育ち、結成に辿り着きました。何よりも人を結びつけるコミュニケーションが重要です。私たちは、日ごろから、マンション内や地域において、高齢者を含めた強い絆をつくり、保っていくことが大切ではないでしょうか。災害時に限らず、人は、独りでは生きて行けないものです。


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