業務知識・判例
夏の福管連セミナー
「滞納管理費等回収のポイント」より Q&A


弁護士  中島 繁樹  
 遅延損害金の率は14.6%を超えると無効か?
管理規約では、滞納の場合の遅延損害金の率が15%になっていますが、14.6%を超える部分は、違法となるのでしょうか。
 14.6%を超えていても違法ということではありません。そのままにしていただいて結構です。15%や20%だからといって裁判所から無効だといわれた先例はないのですが、こちら側も相手方にも弁護士がついて法廷で徹底的な議論をして裁判所が見解を求められたら、あるいは14.6%が限度というかもしれませんね、というだけことです。ですから、今15%の規約があっても違法ということではありません。
 これから作る場合は14.6%になさることをお勧めします。今15%の規 約があるなら、そのままで結構です。滞納を防ぐための対策ですから、14.6%にしたら必ず取れるということではありません。裁判をしたら取れるかもしれませんが、お金がない人が相手でしょうから、あまりパーセンテージにこだわっても仕方ありません。
 この規定があればそれなりの効果がありますから、遅延損害金の規定は入れておく必要があります。
 弁護士費用を滞納者負担とし、賃借人の家賃からも滞納金を回収したい!
滞納した場合、依頼した弁護士の費用も滞納者に支払ってもらいたい。また、賃借人の家賃からも滞納金を回収したいのですが、できるでしょうか。
 滞納金請求の訴訟をするときの弁護士費用に10万円くらい、さらに競売するのに10万円から20万円くらいの弁護士費用がかかるわけですが、それを請求するためには、「管理費を払わないなら、弁護士費用等もあなたに払ってもらうよ」との規定を規約のなかに入れておかなければなりません。そういう規定があることが、滞納を防ぐ一つの牽制効果を産むことになります。

 賃貸している場合は、賃借人に払ってもらえればいいのですけど、賃借人は所詮他人であり、管理組合の組合員ではありませんから、いくら管理規約の中に「滞納金は賃借人に払わせる」と書いていても、管理組合の規約を賃借人に守らせる方法はありません。家賃を差し押さえるという方法はありますが、それは、裁判所に差し押さの手続きをとってもらわなければなりません。場合によっては訴訟をしなければならない。訴訟抜きで差し押さえすることもできますが、裁判所の差し押さえ手続は必ず取らなければなりません。面倒くさい話ですから、前もって賃借人からスーッと払ってもらえる方法はないだろうかということをここで問題にしているのですが、一つだけあります。

 それは、福管連のモデル規約ではその書式まで用意されていますが、賃借人が入居するときに、「もし、将来管理費の滞納が生じたら、賃貸人に代わって払います」という一札を賃借人から入れていただく方法です。そう書いた約束があることを理由にして請求することができるのです。約束しなければ支払ってもらうことはできません。管理組合が、賃借人から入居の時に一札をもらっておけば、約束に基づいて請求することが可能になります。
 管理費と積立金で約50万円の滞納者の対策は?
管理費と積立金を2年分で約50万円滞納している組合員がいます。マンションの価値は400万円位のようです。どういう手続きで強制執行の手続きが進められるでしょうか。マンションには、ローンはなく、本人名義です。また、費用はどのくらいかかりますか。
 マンションの価値が400万円くらいで、滞納が約50万円であれば、競売手続きで差し押さえをすることは可能です。

 まず、その組合員がなぜ払わないのか調査する必要があります。「失業しているが、あと2〜3ヶ月で就職する」ということであれば、競売まですることはないでしょう。まず、払わない理由を確かめることが先です。

 調査しても、他に方法がないということであれば競売することになります。マンションの価値が400万円であれば、300万円〜350万円で売れるでしょうから、滞納金の50万円は回収できます。弁護士費用は回収できません。競売の弁護士費用は、約10万円ないし20万円はかかるでしょう。競売する場合、管理組合自身で手続きをしない限り、かかった費用を完璧に回収することはできません。

 それから、競売するには、その手続き費用をあらかじめ裁判所に納めなければなりません。マンション競売の場合、福岡県全域どこの裁判所でも60万円で運用しているようです。

 経験上からいいますと、裁判所に60万円納め、売れれば、売れるまでにかかる 経費約45万円を差し引き、余った約15万円は戻ってきます。約45万円は、競売で物件が売れれば配当金として戻ってきます。抵当権者がいれば、そこへ抵当の債務の弁済金として支払われます。それでも余ったら、滞納管理費分50万円の弁済に充てられることになり、50万円は戻ってきます。余りがなければ戻ってきません。このときは、新しい区分所有者に請求します。

 競売手続きにおいて、弁護士にかかった約10万円ないし20万円は戻ってきません。管理組合の皆さんが競売手続きを勉強してやればやれないことはないでしょうが、弁護士に頼まずにやれば、かける手間ひまが大変です。管理規約に弁護士費用は相手方負担と書いているが、それでも戻ってこないのかとおっしゃる方もありますが、競売費用とくに弁護士にいくらかかったか裁判所ではわからないので、売れた中から戻すことはないのです。

 弁護士費用まで回収したいと思うならば、競売の前に裁判手続きをして、その裁判手続きでかかった費用を判決に基づききちんと請求しておけば、弁護士費用を含んだ判決をもらえます。しかし、競売手続きを弁護士に頼めば、その費用の約10万円ないし20万円は戻りません。弁護士に頼む以上は仕方ないでしょう。
 競売の期間は、どれくらいかかるか。売れないときはどうなるのか?
 競売は、早くて半年、売れなければ1年くらいかかります。どうしても売れないこともあります。裁判所は、3回売りに出して売れないときは、競売取り消しになります。このときは、競売取り消しまでにかかった費用は戻ってきません。10万円〜30万円は多分使っているので、予納した60万円のうち30万円程度は戻ってこないことになります。競売するときは、このような危険があることも見極めた上でしなければなりません。


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