業務知識・判例
既設マンションへの高圧一括受電方式の導入

 高圧一括受電方式は、これまでの電力会社から各戸が直接電気を購入する方式を改め、マンション内に高圧受変電設備を設置し、そこへ電力会社から高圧で受電し、変圧した低圧電力を各戸に供給する方式です。

 これは、各戸で契約していた電灯契約と大口需要家向けの高圧(6600V)契約の電気料金の単価の差を利用して各戸の電気料金を節約しようとするものです。

 高圧契約は、毎月の基本料金は高くなりますが、電気料金単価が大幅に安くなりますので、高圧受変電設備設置のための設備費、工事費、保守運用費、専門業者の利益などを加算しても、従来の電灯契約と比べて5〜10%程度は節約できます。

高圧受変電設備を設置できるかどうか
 既設マンションに高圧一括受電方式を導入するためには、高圧受変電設備を設置するほかに、各戸が現在電力会社と結んでいる契約の廃止申込書を全戸が電力会社に提出する必要があります。高圧受変電設備を設置する場合、ある程度のスペースが必要です。設置できるかどうか、詳しいことは専門業者にお問い合わせください。
電力会社との直接契約は解除
 依頼を受けた専門業者は、地域の電力会社と高圧受電契約を結び、高圧の電力をマンションに引き込み、マンション内の電気室にある電力会社の設備を撤去し、高圧の電力を各戸および共用部分に分配するための機器を設置します。各戸のメーターやブレーカーなども交換します。工事完了後は、各戸は電力会社からではなく、管理組合と全区分所有者が専門業者と契約を結ぶことになります。導入後の検針と料金徴収は専門業者が担当します。
高圧受変電設備導入に伴う注意点
 いいことづくめのようですが、注意点もあります。
  1. 高圧一括受電方式の導入には総会の特別決議が必要です。決議後に、電力会社への契約廃止申込書提出と専門業者との契約を行いますが、両方とも全戸揃わなければなりません。1戸でも欠ければ、高圧一括受電方式の導入はできません。
  2. 切替工事では、敷地内の電力会社設備を撤去し、専門業者が新たに設備を設置するため、1〜2時間程度全館停電が発生します。
  3. 契約期間は、通常10年です。専門業者に確認が必要です。契約期間内の解約は別途解約金が発生します。
  4. オール電化マンションには導入できません。
  5. 保安規程に基づき、1年〜3年毎に1度、設備の精密点検が必要です。点検時間中に1時間程度の全館停電があります。
  6. 契約期間中に、各戸が個別に電力会社への契約変更はできません。
  7. 専門業者の技術、信用、経営などの確認が大切です。
電力会社の設備を撤去しないで利用できないか
 高圧一括受電方式に切り替える場合、電力会社の既設設備を撤去し、専門業者が新たに高圧受変電設備を設置します。これを撤去しないで、電力会社から譲渡してもらえば、切替費用が大幅に節約できます。

 今後全国的に一括受電方式が増えると考えられますから、国が既設受変電設備の管理組合または専門業者への資産譲渡のルールを設定していだきたいと考えます。これにより、高圧一括受電方式を利用する住民は、より安い料金で電気を利用することができるとともに、既設の設備の再利用により、省エネにも貢献することになります。


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