業務知識・判例
<判例紹介>  理事長の助っ人になる判例紹介(15)

住居専用マンションを税理士事務所としての使用は?
<平成23年11月24日 東京高裁判決>
 東京都世田谷区内に昭和44年に建設されたマンションのことです。このマンションの管理規約には、「区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。ただし、1階専有部分の一部に限り店舗として使用することができる。」との「住居専用規定」が定められています。

 ところが、本マンションを購入した一区分所有者が、昭和60年7月ころから税理士事務所として使用を開始し、玄関には「東京税理士会会員之章」が貼られ、1階の郵便受箱と駐車場には「○○会計事務所」と表示されています。事務所では、本人を含め4人が会計事務のデスクワークを行っています。

 管理組合は、税理士事務所としての使用は住居専用規定に違反するものとして、使用の中止を求めましたが改めないので、税理士事務所の使用中止を求めて、東京地裁に提訴。管理組合が敗訴したので東京高裁へ控訴しました。

▼税理士事務所として使用してはならない 東京高等裁判所判決


 東京高裁で、税理士事務所側は、2階以上でも住居以外の目的に利用している専有部分はいくつもあるが、管理組合側は使用中止を求めたことは一度もなかった。したがって規約は空文化している。また、規約違反であっても、区分所有法にいう共同の利益には反していない、などと主張して争いました。

 東京高裁では、「昭和59年頃、2階以上に医院があったが、平成6年ころまでに廃院や転出し、現在は住居として使用されている。他の住居外使用者に対しては、管理組合が交渉して住居外の使用を中止し、転出し、あるいは住居外使用は名目だけである。また、管理組合は、新たに区分所有権を取得した者に対しては、管理規約の写しを交付して、住居専用の周知を行っている。税理士事務所だけが管理組合の注意を聞かず、使用を継続して、住居専用規定を争っているが、住居専用規定が空文化(規範性欠如)しているとは認めがたい。」

 「税理士事務所側は、税理士事務所使用が法律にいう「共同の利益に反する行為」に当たらないと主張するが、住居専用規定は、住居としての環境を確保するための規定であり、税理士事務所として営業に使用することは、共同の利益に違反する。」と厳しい判断を下しました。

 税理士事務所側は、その他「禁反言の法理」「クリーンハンドの原則」「権利乱用」などを主張しまたが、いずれも「理由がない」と否定され、「税理士事務所として使用してはならない」との判決が言い渡されました。

 住居専用マンションで、業務用に使用している事例がある場合は、きめ細かく、使用中止の申し入れその他の対処が大切なことを教えられる判例です。


Copyright(C)2013 PICT. All rights reserved.