業務知識・判例
福管連 秋のセミナー 受講報告
 「マンションを長持ちさせる給排水設備改修工事の進め方」
講師 有限会社 マンションライフパートナーズ
代表者 設備設計一級建築士 柳下雅孝先生

 平成24年11月4日、恒例の「福管連セミナー」が、天神ビルで開催されました。

 平成23年に続き、東京から(有)マンションパートナーズの柳下雅孝設備一級建築士を講師にお迎えし「マンションの給排水管設備」改修工事に関する内容でしたが、参加者が会場に溢れそうになり、何回も椅子を追加するといったセミナー主催者にとってはうれしい悲鳴が出る大盛況となりました。

 マンションも2回目の大規模改修工事を迎える時期になるとそろそろ給排水管を含む設備に関する改修も考えなければならない時期に入ります。福管連の多くの会員マンションでも設備改修が切実な問題となってきています。

 先生のお話で特に印象深かった、「過去からの教訓」と「実現可能なグレードアップ」について皆様と一緒に考えてみましょう。これから設備改修をする場合に役にたつ「タイムリーな講演」の内容でした。
専門家が警鐘・・・・「過去からの教訓」

■行き当たりばったりの修繕は、建物寿命を縮める。築40数年、住民の無関心が招く膨大な補修履歴。
■特に設備にはチェック機能がない。目に見えないインチキ改修が社会を蝕む。
■一般に、施工者は工事しやすい方法を提案しがち。とりあえず今をしのげば・・・。
 根本治療は手間と勇気がいる。
 「やりやすい方法主義」は負の遺産を残す。二重投資、交換したのにまた交換
■行き当たりばったりの修繕は、技術が衰退する。とりあえず水が流れればいいか
衰退した技術は、目先のことしか考えられなくなる。もはや仕事にプライドもなくなる。

情報を得やすい現代
 →プチ専門家が誤解を招く。説明者が悪いのか、説明を受けたほうが悪いのか。



▲柳下先生の著作
信じていませんかこんな話

直結にすると圧力が上がり室内の劣化した給水管が破裂する?
露出配管はメンテナンスに良い?
浴室防水を触ると大変なことにまきこまれる?
 突破口がなく、目をつぶって残してきた?

現実可能なグレードアップ

 給排水管の改修工事で一番の問題は、専有部分をどうするかということだと思います。共用部分の改修費用は、修繕積立金で何とか可能ですが、専有部分の給排水管をそのままにしての改修工事では意味がない。このために堂々巡りの管理組合も多いのではないでしょうか。

 講演で提案された「実現可能なグレードアップ」は、この問題の解決策になるのではないかと期待します。

 追いつかない専有部分の改修工事でも、将来改修するときに一定のルールを決めていれば(リフォーム業者に指示できれば)一斉に工事しなくてもグレードアップが可能なプランです。
ぜひ参考にしたいものです。

パネルディスカッションでの提案

 セミナーの第三部は、柳下先生をコーディネーターに福管連技術顧問の4名の1級建築士(大賀博美氏、徳永良美氏、藤井俊郎氏、松澤康博氏)をパネラーとしてのディスカッションが行われました。

 その中で松澤建築士から、専有部分リホーム時の写真を添付した「専有部分修繕履歴」や管理組合がリフォーム業者に示す「工事指示書」などを作成しそれらの情報を管理組合として保存しておれば、その情報の蓄積が次の設備改修工事の参考になるとのご提案は、平成24年度から福管連で進めている、「福管連データバンク」に、是非採用したい内容でした。

 修繕履歴の蓄積を一歩進めて電子データ化し、「福管連データバンク」に登録すれば、リフォーム業者が「勝手にリフォーム」した結果の「過去からの教訓」の悪夢から解放されるのではないか。将来に希望の光が見えたセミナーでした。
(取材記事 福管連理事 杉 滋)
1 改修前
2 今回の立管改修時
3 数年後
4 将来の完成図


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