業務知識・判例
<判例紹介>  理事長の助っ人になる判例紹介(13)

理事長を誹謗中傷、管理員に「馬鹿野郎」といった組合員に100万円の支払を命令
(平成23年2月17日 東京地裁判決)
 東京豊島区にあるマンションの管理組合法人(X1)と管理会社から派遣されている管理員(X2)は、マンションの7階の区分所有者(Y)に対して、次に述べるような不法行為があるとして、合計500万円の損害賠償を求めて東京地裁へ提訴しました。

                  ◇            ◇
  1. Yの管理組合法人及び理事長に対する不法行為(裁判所が認定した事実)
    (1) Yは、エントランスホールに置いた植木鉢をごみ置場に移動させた。
    (2) Yは、玄関付近に駐輪した5、6台の自転車を押して少なくとも1台が花壇に倒れた。
    (3) Yは、組合がエレベーター内に掲示した「火災警報器取付工事のお知らせ」に、赤マジックで「理事長と管理人はいくら業者からバックリベートを受け取ったか、本工事は不正工事だ」と書き込み、工事業者に対しては「理事長を呼べ。無断で工事をするな」と告げ、自室への火災警報器を取付工事の実施を拒否した。
    (4) Yは、組合掲示板に、「理事長は暗黒の組合運営を即刻止め・・・。管理員の話では強面の理事長が怖いので、理事や区分所有者は意見をいうことができない。これは憂慮すべき異常事態であり金正日のような独裁は許されない」などと書いた文書を掲示し、組合が文書を除去した後も、同内容の文書を掲示した。


    裁判所 Y組合員の行為が社会的相当性を逸脱し違法で損害が生じていると認定

  2. Yの行為は「社会的相当性を逸脱」と裁判所判断
     裁判所は、「組合員は、管理組合の権限を尊重すべきである。組合員の行為が不法行為を構成するのは、社会的相当性を逸脱する違法なものであり、そのことによって組合に損害が生じていることが必要である。その観点から、(上記(1)〜(4)は)いずれも社会的相当性を逸脱する行為である。」「すなわち、(1)の植木鉢は組合に撤去を求めるべきであり、Yに移動する権限はなく、無断で廃棄したと認めるのが相当。(2)の自転車も、Yに組合に断ることなく移動させるために押し、自転車を転倒させたまま放置する権限はない。(3)と(4)の掲載は、その内容から理事長、管理人だけでなく、組合の社会的評価を下落させ、その信用を失墜させるものであり、その記載内容とその方法はいずれも違法といわざるを得ない。組合が管理している掲示板に、文書を許可なく掲示すること自体許されない。」との判断を下しました。


    「馬鹿野郎」の罵声その他の行為も不法行為と認定

  3. Yの管理員に対する「不法行為」の認定(裁判所が認定した事実)
     Yは、平成20年秋ころから平成21年2月ころまでの間、管理事務室に立ち寄り、管理員に対し「馬鹿野郎」と罵声を浴びせ、管理事務室の扉を足蹴にし、無断で入室し流し台に口から物を吐いた。その他被告に遅刻していないのに10分間遅刻、怠慢などとのべた。
     また、掲示板に「充分仕事をしていない」と掲示し、1Bのとおり「バックリベートを受け取ったか」と書き込んだ。これらの行為は社会的相当性を逸脱し不法行為と認定しました。


    管理組合に50万円 管理員に50万円支払えとの判決

     裁判所は、「Yは、組合(X1)に対し50万円、管理員(X2)に対し50万円及び平成21年1月17日から支払いまで年5分の割合による金員を支払え」と命じました
  クレーマーにお悩みの理事長や役員の皆様を勇気づける判決ではないでしょうか。(福管連)


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