<判例探索> 理事長の助っ人になる判例の紹介(12)
工事等非協力組合員に150万円の損害賠償と建物の競売

 横浜の団地管理組合(4棟125戸築36年)は、高圧一括受電方式の導入を総会の特別決議で可決しました。高圧一括受電方式とは、民間会社がマンション敷地内に高圧受電設備を設置して電力会社から電気を受け、各戸へ供給するシステムです。

 同方式を導入すると、電気代は8%安くなり、100V、200Vの両方が使用可能、アンペア数も10〜60Aが選択できる等のメリットがあると会社では説明しています。

 ところが、組合員の一人(Y)だけが、高圧一括受電方式提供会社への申込書を提出しなかったために、団地全体の電気供給契約が締結できませんでした。Yが反対した理由は、電圧変動など品質か定かでない、会社の姿勢が信用できないなどといった抽象的なものでした。
従来から管理組合業務に非協力的
Yは、今回だけでなく前から、次のように管理組合の業務に非協力的でした。

1)ケーブルテレビ導入のため、室内のテレビ端子を雑音防止型に取りかえる工事に協力せず、Yの部屋だけ取替えができなかった。
2)雑排水管改修工事を行う際、Yは室内へ入ることを拒否したため、同系列5戸の工事ができない事態が生じ、管理組合は立入りを求める訴訟を提起した。
3)玄関扉内側の塗装、サッシ廻りのシーリング工事等を拒否し実施できなかった。
Yの行為は不法行為に当たると地裁
 管理組合は、高圧一括受電方式導入に反対するYの行為は、区分所有者の共同生活上の障害が著しいとして、Yの建物の競売請求と高圧一括受電方式の申込書不提出を不法行為として損害賠償請求を求める訴訟を提起しました。

 横浜地方裁判所では、平成22年11月29日、Yが契約を拒否している理由は正当なものとは認められない、Yの態度には、建設的な論議を通じて問題解決に取り組むという姿勢が見受けられず、団地の他の住民と協力して住環境の保全と向上を図ることに目を向けないという姿勢が顕著である。

 他の区分所有者が受ける不利益などを総合的に勘案すると、Yの行為は違法なもので不法行為に当たるとして、弁護士費用を含め約150万円の支払いが命ぜられ、また、他の方法によって障害を除去することは困難としてY所有建物の競売申立も認められました。

 管理組合代理人の弁護士は、これは、たんに申込書を提出しなかったことだけでなく、Yのこれまでの管理組合運営に対する非協力的態度を裁判所では見てくれたものと考えると述べています。

 この事件は控訴されましたが、最終的に「Yは平成24年4月末までにマンションを譲渡・退去し明け渡す。和解金として管理組合に50万円を支払う。電気工事は承認し、立ち入りも認める。」などの内容で和解が成立しました。


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