<判例探索> 理事長の助っ人になる判例の紹介(11)
暴力団事務所の近隣居住者がその使用禁止を求めた仮処分命令申立事件

 暴力団事務所がマンション内や近所に設けられていますと、付近の住民はいつ抗争が起きるか心配で、安心して生活を送ることができません。それで暴力団を排除したいわけですが、そのための法的手段として、(1)人格権に基づく訴訟、(2)区分所有法に基づく訴訟などの方法があります。

 しかし、民事訴訟は判決までに時間がかかり、その間も住民は不安でたまりません。それで、判決までの暫定的な対策ですが、住民に生じる著しい損害又は急迫な危険を避けるため,仮処分命令を申し立てる方法があります。

 今回の判例紹介は、久留米市内にある暴力団組事務所の建物を、近隣の居住者が、使用禁止を求める仮処分命令の申立を行い、認容された事件です。
組事務所としての使用は人格権侵害として使用禁止を求める仮処分申立
 この暴力団事務所は、西鉄久留米駅から北東側に350メートルほど離れた位置にあり、近くには小学校もあります。このような立地から、人通りも多く、通学路にしている児童もいます。そうして、この指定暴力団A会は、組員が離脱して結成した指定暴力団B会とたびたび抗争事件を起こし、なかには、武雄市内の病院で一般市民を別の会の関係者と間違えて射殺した事件も発生しています。

 組事務所建物から500メートル以内に住み又は勤務する市民が中心となって、この暴力団に対して、組事務所として使用していることにより人格権が侵害されているとして、建物の暴力団組事務所としての使用等の差し止め等を求めました。

 これに対して、裁判所では、建物3棟のうち2棟は空き家として却下しましたが、1棟については、本建物をA会その他の暴力団の組事務所又は連絡場所として使用しているので、暴力団抗争が続いている状況下であり、建物に対する発砲事件等が発生することが予想され、そうなれば申立をした市民側の生命・身体・財産が害される可能性は否定できないので、建物を暴力団組事務所又は連絡場所として使用してはならない、建物は執行官が1年間保管するとの仮処分命令が決定されました。(福岡地裁久留米支部 平成21.3.27決定)

 社会では暴力団排除の機運が高まっています。マンションも暴力団に売らない、貸さないの徹底を!


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