マンショントラブル対処の定石(2)
 I. 漏水事故への対処

 マンション内で漏水事故が発生した場合、まず、どこから、なぜ水漏れが発生したかを突き止めなければなりません。しかし、場所や原因が簡単には分らないことが多く、また、上階からの漏水と思っても、不在であったり、自分のところではないと拒否されたりして、取扱いに困る事例も少なくありません。日頃から、漏水事故の対処方法を身につけておく必要があります。

 さらに、漏水関連保険への加入の有無及び瑕疵担保責任・アフターサービス適用期間内かどうかも、損害賠償に関連してきますので、把握しておいてください。


 II. 漏水事故の法的責任

 漏水事故の法的責任は、漏水の原因を作った者にあります。

  1. たとえば、居住者の不注意により洗濯機の水を溢れさせ、階下に漏水させた場合は、その居住者に賠償責任があります。

  2. 専有部分内の排水管が腐食して漏水が発生した場合は、その専有部分の管理責任者である区分所有者に責任があります。

  3. 漏水事故の発生箇所が共用部分である場合は、原則として、管理組合に賠償責任があります。居住者の不注意で共用部分の排水管を詰まらせたものであれば、本来は、その居住者に責任がありますが、通常は誰が管を詰まらせたかの追跡は困難ですから、管理組合が管理責任を負うことになります。

  4. 漏水事故で損害が発生しても、その場所が専有部分か共用部分か不明の場合がありますが、このときは、区分所有法第9条により、共用部分に原因があったものと推定され、基本的には管理組合の責任となります。また、排水管からの漏水事故について、排水管が下の階の天井にあるときは、共用部分として、階上の区分所有者の責任を否定した最高裁判例があります。

 III. 瑕疵担保責任・アフターサービス適用期間内の事故

 漏水事故が区分所有者の責任ではなく発生した場合で、瑕疵担保責任・アフターサービス適用期間内であるときは、事故の発生個所が専有部分・共用部分の関係なく、分譲業者に賠償責任があります。


 IV. 原因調査の立入を拒否した者に34万円賠償の判例

 標準管理規約第23条で、管理を行う者は必要な範囲内で調査のために立入りを請求することができ、当理由がなく立入りを拒否した者は、その結果生じた損害を賠償しなければならないと規定しています。

 裁判例として、大阪地裁では、「同一マンションの直上、直下に居住するという共同関係をもって社会生活を営む者は、特段の事情がない限り義務として、漏水事故が生じた場合には業者の点検・修理のための立入りは受忍すべきである。立入りを拒否した行為は、違法性を帯び不法行為になる。」として、拒否者に344,889円の支払いを命じました。


 V. 漏水対策としてぜひ保険加入を!

 マンションは漏水事故か多いので、無用のトラブルを防ぐために 必ず漏水関連の次の三つの保険に加入してください。

  1. 「水濡れ原因調査費用」・・・漏水事故が発生した場合、その事故の原因調査にかかった費用が支払われます。

  2. 「施設賠償責任(担保特約)」・・・共用部分の管理が原因の偶然の事故(漏水)で、例えば下の階の壁にシミをつくったなど他人の物に損害を与えた場合の損害賠償責任が補償されます。

  3. 「個人賠償責任保険(包括契約)」・・・専有部分に起因する偶然な事故(漏水)で他人の物に損害を与えたり、他人に怪我をさせた場合の損害賠償責任が補償されます。
    ただし、漏水であっても保険金が出ない場合がありますから、詳しくは保険会社にお問い合わせください。


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