<判例探索> 理事長の助っ人になる判例の紹介(9)
バルコニー床に無断で敷設した大理石等は撤去し損害を賠償せよ

 東京都港区三田にあるAマンション207号室区分所有者Yは、

  1. 昭和49年にバルコニー近くの壁にクーラー室外機を固定金物で固定し、その室外機と室内機とつなぐための直径6センチの貫通孔を設けました。

  2. 昭和63年には、バルコニー床にコンクリートを8センチから10センチ増し打ちし、 その上に大理石を敷設したうえ、手摺子、アルミバー等を撤去しました。
 管理組合は、大理石等を撤去し原状回復することを再三にわたり、要求しましたが、Yは一切これに応じようとしませんでした。それで、管理組合は平成16年5月16日に総会を開き、区分所有法に基づき室外機及び大理石等の撤去と原状回復を請求し、並びに弁護士費用105万円の支払いを求める訴えの提起を決議しました。

 被告Yは、設置に当たっては管理会社の承諾を得ていること、及び設置して室外機は30年、大理石は16年経過しているので時効であること、また、長期間経過しているがその間なにも問題がなかったのに、今頃訴訟を提起するのは信義則に反し、権利の濫用であると抗弁しました。

 裁判所では、室外機等の設置は総会の普通決議、貫通孔の設置及び大理石等の設置は共用部分の変更として特別決議が必要であり、たとえ管理会社の了解を得ても、他の区分所有者の承諾があったものとはいえない、時効については、原状回復請求権は債権でなく所有権なので、違法設置を解消しない限り消滅しない、また、大理石等は管理組合が撤去を求め被告Yが応じなかったものなので信義則に反しない、としました。

 よって、大理石等は撤去せよ、また、被告Yの不法行為で生じた弁護士費用のうち相当因果関係にある50万円を支払え、と命じました。ただし、室外機等の撤去は、長期間管理組合が請求せず、また、貫通孔で外壁の強度を弱めて安全性を損ねるとの証拠もないので、請求は信義則に反し、認められないとしました。(東京地裁 平成18年7月6日判決)


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