<判例探索> 理事長の助っ人になる判例の紹介(6)
1階はエレベーターを使わないから、その分の管理費は払わないという区分所有者

 6階建て、エレベーター1基、給排水管は1階部分と2階部分以上が別系統になっているマンションがあります。

 その1階店舗部分のA区分所有者が、「1階の店舗は直接公道から出入りすることが予定され、構造上エレベーターを利用することはない。エレベーターは2階ないし6階の区分所有者が使用する構造になっている。また、水道管の配管も、2階以上の配管を1階の店舗が利用することはまったくない。したがって、エレベーター及び2階以上に通じる給排水管の管理費を1階部分の区分所有者が負担する必要はない。」として、約4年間、管理費を減額して支払っていました。

 これに対して、管理組合は、定期総会の決議により、Aに未払管理費等の支払と25万円の弁護士費用を求めて、東京地裁に提訴しました。
 東京地裁では、次の判断を下しました。


  1. エレベーターについて、確かに、1階のA区分所有者はエレベーターを使用する程度は2階以上の区分所有者と比較して極めて少ないことが推認されるが、屋上の利用等のため使用する可能性はまったくないとはいえない。

  2. 給排水設備及びその配管についても、1階部分及び2階以上の部分とも建物と一体となった設備であり、その維持や補修に際しては、建物の共用部分にも影響を及ぼすことに鑑みAも費用を負担すべきである。

  3. 区分所有建物においては、区分所有者の利害は必ずしも一致せず、共用部分から受ける利益も異なるので、共用部分に対する利害得失をある程度捨象し、一律に専有面積に応じて管理費を負担することは合理的な方法ということができる。

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 以上のとおり、ほぼ組合の主張が認められました。

 とくに水道設備についてはまったく別の系統ですが、1階の水道管は共用部分であるエントランスの下に配管されており、その修理が必要になったときはこれを掘り起こす必要があるなど、専有部分以外の給排水設備はすべて全体の共用部分と認められました。

 この考え方は、各管理組合の管理費のあり方にも参考になると考えられます。
 (東京地裁 H5.3.30判決)



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