管理組合による管理会社の評価案
  1. 管理組合の約半数は管理会社の変更を考えている !

     公正取引委員会は、平成15年1 0月24日「マンションの管理・保守をめぐる競争の実態に関する調査」結果を発表した。

     
    1 アンケート調査の対象
    全国マンション管理組合連合会加盟の管理組合1,743組合を対象に実施

    2 ヒアリング調査の対象
    管理組合(9組合)、管理組合の団体(5団体)、管理会社(5社)、管理会社の団体(1団体)、設備保守業者等(14社)、設備保守業者団体(5団体)、コンサルタント会社(1社)


    (1) 分譲時における管理業者の選定

     アンケート調査結果では,分譲時においては,ほぼすべてのマンションにおいて「管理会社への管理委託」とされており,比較的大手の分譲会社 が販売したマンションでは,自社系列の管理会社が指定されている割合が68.5%に上っている。

     なお,マンションの分譲時における管理委託手続についてヒアリングしたところ,次のような指摘があった。

    1 マンションの購入者に対しては,売買契約時に分譲会社より管理規約(案)と管理委託契約書(案)が渡され,分譲会社が指定した管理会社への管理委託への同意を求められる。

    2 売買契約時,マンションの購入者はその他のことで頭が一杯なため,管理委託契約書の内容まで確認して承諾している購入者はほとんどいない。(管理組合団体)

    3 マンションの購入者には,売買契約時に管理委託契約案とともに各設備の管理費の内訳を渡しているが,管理費について質問をしてくる購入者はほとんどいない。(管理会社)


    (2) 管理会社の変更状況

     アンケート調査結果では,管理会社を「変更したことがある」とするものは26.9%となっており,マンション購入時に契約した管理会社との契約が継続される割合が7 割を超えている。

     しかし,「変更したことがある」と,「変更を検討中である」及び「変更を過去に検討したことがある」と回答したものを合計すると49.2%と約半数に達している。

  2. 相談事例から診た管理会社に対する不満

    ▼平成18年度の主な相談受付内容(福管連で受けた相談例)
    相 談 項 目         件  数   全体件数中の割合
     1  管理規約改正、解釈等・・・・・・352件/14.6%
     2  総会運営関係・・・・・・・・・・253件/10.5%
     3  管理委託関係・・・・・・・・・・245件/10.1%
     4  理事会運営・役員関係・・・・・・145件/6.0%
     5  改修工事 (建物・給排水管)・・・ 116件/4.8%
     6  会計関係・・・・・・・・・・・・112件/4.6%
     7  滞納関係・・・・・・・・・・・・105件/4.4%
     8  保険関係・・・・・・・・・・・・・72件/3.0%
     9  工事業者紹介・・・・・・・・・・・58件/2.4%
     10  設計監理関係・・・・・・・・・・・71件/2.2%

    (1) サービスに対する不満

    1 浄化槽のにおいが発生し、換気モーターを取り替えても臭いは消えない。
    2 分譲直後から1年間定期清掃を実施していないことが判明。委託費は徴収
    3 消防設備点検の未実施が判明
    4 駐車場が空いたが半年間放置
    5 フロントマンに指示したことを実行してくれない。仕事が遅い。
    6 総会を3ヶ月以上開催してくれない。議事録作成が遅い。
    7 1年・2年のアフターサービスを組合員の立場からは取り組んでくれない。
    8 漏水事故や騒音トラブルは当事者間の問題としてタッチしようとしない。
    9 管理員がプライバシーを他の居住者に洩らす。
    10 管理会社から積極的な提案をしてくれない。
    11 滞納管理費回収がお座なりで、未収金がかなりになっている。
    12 地震で被害を受けたのに電話をくれたのは1週間後だった。

    (2) 管理委託費に対する不満

    1 他の同規模の管理組合と比べて管理委託費が5割も高い。
    2 分譲5年目に修繕積立金を倍額とする提案が出てきた。
    3 管理委託費の内訳を教えてくれないので高いか安いか判断できない。
    4 売れ残り住戸の管理費は、全体管理費の不足分しか払わない約束になっている。


  3. 管理会社評価のポイント

     以上のようなサービスに対する不満や相談事例などからみて、管理組合からみたよい管理会社とはどのような会社をいうのか。

     福管連では、次のとおり50項目の評価のポイントを作成した。各項目を、良い(2点)、普通(1点)、悪い(0点)として採点してみるのも一評価方法である。


    (1) 財務管理は適切か。


    1 財産管理方式は明確になっているか。
    原則方式、収納代行方式、支払一任代行方式のうちどの方式であるか。
    2 預金通帳と印鑑の保管は分離されているか。
    保管口座、収納口座ごとの保管方法。
    収納口座の通帳も管理会社保管が望ましい。
    3 納期から1ヶ月以内に収納口座に振り込んでいるか。
    4 保証契約はなされているか。
    信用ある保証会社であるか。
    5 再委託先とその費用、業務内容は事前に説明されているか。
    6 月次決算を行っているか。
    7 管理費会計と積立金会計を分別した収支報告書、貸借対照表であるか。
    8 未収金についての管理会社の業務範囲と作業日程は明確になっているか。
    9 1年以上の管理費等の滞納はゼロであるか。
    10 積立金取崩し及び予算の変更は管理規約に従って行っているか。
    11 管理費及び修繕積立金の金額が適切であるかの支援を行っているか。


    (2) 管理員業務

    1 勤務日、時間、人数、休務日の補充の有無は明確になっているか。
    2 管理員の業務内容と勤務時間は適切であるか。
    3 管理員に対するプライバシー保護の指導は十分行っているか。
    居住者、訪問者、業者、宅建業者等との対応、知りえた秘密の保護等


    (3) 清掃業務

    1 勤務日、時間、人数、休務日の補充の有無は明確になっているか。
    2 業務完了は清掃対象部分別に報告されているか。
    3 除草、ドレーンごみ除去は行われているか。


    (4) 建物・設備管理業務

    1 建物・設備管理業務は有資格者によって行われているか。
    2 業務確認報告は、対象範囲ごとに迅速に行われているか。
    3 長期修繕計画の作成と5年ごとの更新は行われているか。
    4 管理会社以外への工事等発注の場合の管理会社の業務と費用負担は明確か。
    5 建物・設備の概要を書いた台帳は整然と保管しているか。
    6 建物・設備の修繕履歴は作成され、整然と保管されているか。
    7 設計図書は目録が作成され、整然と保管されているか。
    8 大規模改修は長期修繕計画より2年以上遅れていないか。 (正当な理由がある場合を除く。)
    9 法定点検は定められた時期に実施しているか。


    (5) 委託費は適切であるか。

    1 定額管理委託費の内訳(消費税は内税)は明示されているか。
    2 「管理委託費の目安(「マンション会計の実務」福管連発行に記載)」による計算と比較して、差異がある場合の理由は明確か。


    (6) 管理委託契約は適切か。

    1 契約は自動更新条項となっていないか。
    2 暫定契約は3ヶ月程度となっているか。
    3 3ヶ月前の予告による任意解約条項はあるか。
    4 仕様書や作業手順書等のマニュアルは管理組合に交付されているか。
    5 重要事項説明書は契約前に交付されているか。
    6 管理委託契約のうち標準管理委託契約と異なっている部分の説明は行っているか。
    7 委託業務費の支払は、業務完了確認後支払うようになっているか。


    (7) 個人情報保護の規定があるか。

    1 組合員名簿の管理と現行維持の方法は明確になっているか。
    2 解約時点の個人情報の引渡しは明確になっているか。
    3 防犯カメラの取扱い方法は明確になっているか。
    4 従業員が業務上知りえた秘密は、退職後も守ることはどのような書類で約束されているか。


    (8) 緊急時及び異常事態の対応体制は確立されているか。

    1 地震等非常災害対策マニュアルは作成され、管理組合に交付されているか。
    2 地震等の災害に備え、災害対策用品(災害グッズ)は備蓄されているか。
    3 各種警報のテストは定期的に行い、管理組合に結果が報告されているか。
    4 各種警報は24時間体制で受信できるようになっているか。
    5 防災計画が作成され、1年に1度は防災訓練が実施されているか。
    6 騒音、漏水等居住者に関連したトラブルの対応体制はできているか。
    7 最寄の交番、保健所、救急病院等の電話番号、所在地のリストは整備されているか。


    (9) 総会の円滑な開催のための支援は十分になされているか。

    1 総会開催は年度終了後2ヶ月以内に開催し、開催時間は2時間以内であるか。
    2 総会の成立のための出欠確認及び不在区分所有者への案内等の支援は行っているか。
    3 総会の議案書等は規約に定められた期限までに送付できているか。
    4 議事録は総会終了後1週間以内に理事長に提出しているか。


    (10) 理事会及び役員の機能化のための支援は十分になされているか。

    1 理事会は毎月1回は開催されているか。
    2 理事会活動状況を掲示、情報紙等により組合員等に周知を図っているか。
    3 管理運営上必要事項を適時に理事会に諮るよう理事長支援をしているか。
    4 法令等の改正による管理規約改正等の素案を適切に理事長に提出しているか。
    5 コミュニケーション充実のためのイベント企画案を理事長に提出しているか。
    6 規約原本及びその後の改正経緯、議案書、議事録等保存のための規定の整備と管理を支援しているか。
    7 役員引継ぎに漏れがないように支援しているか。
    8 役員の任期は、2年の半数交代となっているか。
    9 高齢者、障害者等社会的弱者へハード、ソフト面での対応施策の支援をしているか。


    (11) 管理会社の評価

    1 国土交通省にマンション管理業者として登録しているか。
    2 支店単位での委託契約管理組合数及び管理業務主任者はどのくらいか。
    管理業務主任者一人当たりの受持管理組合数はいくつか。
    3 企業情報として、ホームページで次の情報を公開しているか。


    (注1)@設立年月日A資本金B役員名C売上高D従業員数E主要取引銀行F業容G資格・登録・免許
    H有資格者数I主要株主J管理実績並びに財務状況(協会報告内容)K加盟団体

    4 管理会社の決算は黒字であるか。
    5 法律面の専門家、建築関係の専門家は、何名どのように配置されているか。
    6 マンション管理面で、他社より勝れているサービスはなにか。


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