<判例探索> 理事長の助っ人になる判例の紹介(2)
滞納者が管理組合に債権があっても管理費との相殺は許されない

 1階に専有部分と広い庭の専用使用権を持つ組合員は、平成5年5月分から平成7年9月分までの管理費を滞納していましたが、管理組合に貸しがあるとして、管理費を支払わず自分の債権との相殺を主張しました。これに対して裁判所は次のとおり判決をくだしました。

(1) 隣地から木の枝が敷地に伸びてきたので庭の専用使用権を持つ滞納組合員が剪定し、その費用と管理費を相殺すると主張しました。
 判決では、伐採した費用は本来、管理組合が負担すべきであるが「マンションの維持管理は、組合員全員が管理費等を拠出することを前提として規約に定められ、これを怠ると建物の維持管理に支障を生じ、組合員全員が不利益を被ることになるので、組合員が管理組合に有している債権と相殺することはその性質上許されない」として、管理費との相殺は認めませんでした。

(2) 滞納のため、管理員がロビーを使わせなかったり、伝言を頼んでも断られ、一般管理業務サービスを受けていないとの主張に対して、判決は、管理費と管理員業務は直接の対価関係にないから、管理費の支払いを拒絶する理由にはならないとしました。

(3) 2階からの漏水について、滞納者(1階)から2階の組合員に損害賠償訴訟が起こされた場合、管理組合は2階の組合員の訴訟費用、弁護士費用を負担すると総会で決議しました。
 このような訴訟の相手方の費用として使用される管理費の支払い義務はないとの主張に対して、判決は、すげなく支払いを拒絶する理由にはならないとしました。

(4) 庭園は共用部分でありその維持修繕費は組合が負担すべきと主張しましたが、判決は、専用使用権者が負担すべきものとしました。 (東京高等裁判所 平成9年10月15日判決)


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