<判例探索> 理事長の助っ人になる判例の紹介(1)
組合員からの総会外での個々の質問には答えないでよい

 組合員から直接理事長に数枚から数十枚にわたる質問状が寄せられる場合があります。
 常識的には、総会以外であっても、組合員からの質問には親切に答えるのが好ましいのですが、何回も細部にわたって執拗に質問され対応に苦労しておられる理事長さんもおられます。
 組合員の質問にはすべて答えなければならないのでしょうか。

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 東京都で55戸のマンションの4人の組合員から、理事長に対して、「質問書に記載の事項を文書により報告せよ」と訴訟が提起されました。この理由は、理事長は区分所有法により委任の関係に立つから、報告義務があるというものです。

 具体的には、隣地に高層ビルが建つために、その交渉を委員会で扱うことを総会で決めました。そうして、理事長は委員会と連携をしながら交渉を進めていきました。これに対して、4名の組合員がその内容について質問状を出し、回答を要求したものです。

 判決では「理事長は総会で選任されたものであり、個々の組合員から直接委任されたものではない。区分所有法では、理事長は毎年1回集会を招集する義務を定めており、報告はこの集会でされることを予定している。

 理事長と組合員との個別の委任契約は認められないから、組合員の請求に対して直接報告する義務はない。」と述べています。執拗な悪意のある攻撃には、役に立つ判例でしょう。(東京地方裁判所 平成4年5月22日判決)


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