管理組合法人化の取組み

東峰マンション那珂川管理組合法人
理事長 山 手 泰 三
はじめに

 マンション管理組合の法人化とはどのようなことでしょう。どうして法人化するのですか。そのメリットとデメリットは?

 当管理組合の法人化の取り組みについて紹介し、法人化を考えている管理組合の参考になれば幸いです。

  1. 法人化とは

     マンション管理組合は、単なる区分所有者の集合体であり、法律上「権利・義務」の主体となりうる団体とは認められません。

     「管理組合の法人化」とは、法人格がない管理組合を一つの組織(法人)として法務局に登記し、法律上権利義務の主体たりうる組織にすることです。

  2. なぜ法人化するのか

     管理組合の法人化は、区分所有者(組合員)にとって、直接的な損得はありません。管理組合が法人化されても、区分所有法上の権利・義務にはなんら変化はないからです。理事会が、マンション(管理組合)を取り巻く様々な状況を判断して、法人化の論議を提起するのが重要なことだと思います。

     当マンションは、築10年となりますが、分譲時に、マンション前の道路が、都市計画道路として拡幅される予定があり、その道路用地が分譲会社の所有のままとなっていました。

     しかし、道路拡幅計画が具体的に進展しないため、分譲会社から、「道路用地を管理組合に無償譲渡したい。」旨の提案がありました。

     理事会として検討した結果、「法人格がない管理組合名義では、土地(不動産)を取得することはできない。管理組合を法人化する。」との結論になりました。

     このように、当管理組合では、「不動産を取得し、管理組合名義で登記する。」することが、法人化する直接の契機となりました。

  3. 法人化のメリット・デメリット

     管理組合の法人化では、メリットが大きく、デメリットは余り考えられないように思われます。

     <メリット>

    1)法律関係が明確になる
     管理組合法人名で契約締結ができ、管理組合法人の財産と個人財産との区別が明確になる。

    2)取引の安全及び円滑化が図られる
     団体の存在と代表者の資格が法人登記により公示されるので、第三者は安心して管理組合と取引が出来る。その結果として、団体として取引の円滑化が図られる。

    3)内部的に、法人としての運営体制が確立する
     年度末には財産目録や、区分所有者名簿を作成する必要があるなど、団体構成に向けて組合員の意識が高まる。

    <デメリット>

     法人登記すると、登記した理事(代表理事)が改選される度に、理事の変更登記が義務付けられる。

  4. 法人化取組みの経過

    (1)前述のように、分譲会社より道路用地の無償譲渡の提案を受けて、平成17年3月度定例理事会は、「9月開催予定の通常総会で、管理組合の法人化を議事として提案する。」ことを決定しました。

    そして、法人化について検討するために、理事会のなかに、「検討委員会」を設置して、1)総会までのスケジュール、 2)組合員への説明資料作成、3)規約改正の検討等を進めることとしました。

    (2) 検討委員会での検討の結果、9月の総会までのスケジュールを決定しました。

     1-6月の理事会に検討内容を報告する
     2-7月に組合員むけの議案説明資料を配布する
     3-8月理事会で管理規約改正案を策定する
     4-法人設立総会は、9月17日開催予定の通常総会と合わせて開催する。

    (3) 規約改正については、国交省の「標準管理規約」と福管連の「モデル管理規約」を参考に、前年総会で改正していたので、法人化に必要な条文のみ改正することとしました。(別紙2参照)

    (4) 組合員むけの議案説明資料は、以下の内容を記載し、全組合員に配布しました。

    1-法人化する目的(何のために法人化するのか。)
    2-法人化とはどう言うことか
    3-法人化のメリット・デメリット
    4-法人化の手続き(設立総会と登記手続き。)
    5-設立総会で議決する事項

  5. 管理組合法人設立総会と登記手続き

     管理組合法人設立について、当初は、通常総会の議事として提案することにしていましたが、それでは、登記の際提出する議事録に、設立総会の議事のみでなく通常総会の議事部分を含めて記載しなければならないことが分かり、法人設立総会は、通常総会とは別に、その前段に開催することとしました。

    (1)設立総会の議案書 (別紙1参照)

      設立総会の議事録はそのまま法務局へ提出する議事録となるため、もれのない議事録にするためにも、議案書は、慎重に作成しました。

    (2)総会の議決

     管理組合法人の設立には、「区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議。」を要します。(区分所有法第47条)

    (3) 設立総会が終了したら法務局へ登記します。

      <提出する書類>

      1-登記申請書  
      2-登記用紙
      3-集会議事録(登記するときは総会でなく集会)
      4-理事就任承諾書(代表理事、印鑑証明)
      5-管理組合法人の印鑑届書
      6-管理組合法人規約

     以上の書類は、福管連で紹介された萩尾司法書士のご指導で、一部分は理事会で作成しましたが、法務局への提出する書類作成と届出は、萩尾先生にお願いしました。

     法人設立登記については、専門用語等の不慣れなものがあり、司法書士を通して届けるほうがスムースに進むと思われます。

     書類提出から約1週間で登記は完了しました。

     法人化する場合、費用は登記手数料、登記手続きを司法書士に委任する費用及び管理組合法人の印鑑購入費用が必要です。

おわりに

 “何でもやってみること” 管理組合の法人化は難しいことのようですが、何事も経験と思います。

 福管連や司法書士に相談し、ご指導いただきながら、法人化の取組みを進めて、「意外とスムースに進んだなぁ。」と思っています。組合員から、「反対」の意見も別段ありませんでした。

 法人化の手引き書もあるので、理事会の皆さんで勉強されて、法人化を進められてはいかがでしょうか。


別紙1/管理組合法人設立総会議案

第1号議案 ○○マンション管理組合法人設立に関する件

1、(管理組合を法人とする理由)
4.以上をふまえて、○○マンション管理組合を「建物の区分所有等に関する法律」第
47条による管理組合法人とします。
5.管理組合法人の登記に係わる費用等必要な費用は、第○期 管理費会計予算に
 計上します。
  (管理している建物等)
1.建 物    福岡県○○市○○区○丁目△△番××号
  建物の番号  ○○マンション
  構  造   鉄骨鉄筋コンクリート造  地上10階
         1階    ○○○○.○○m2
                  :
         10階       m2
  自転車置場            m2
  建築面積           △△△△.△△△
  延べ床面積         ×××××.××m2
2.土 地    福岡県○○市○○区○丁目△△番××号
  宅 地            ○○○○.○○m2
3.付属施設   駐輪場、給水施設、公園施設、外灯設備 その他建物に付属する施設

第2号議案 管理組合法人の名称及び事務所設置に関する件

1.管理組合法人の名称は、「○○マンション管理組合法人」とします。
2.事務所は、福岡県○○市○○区○丁目△△番××号 ○○マンション 集会室に置きます。

第3号議案 ○○マンション管理組合法人管理規約の承認に関する件

1.○○マンション管理組合法人の設立にともない、○○マンション管理組合法人管理規約を別紙(略)のとおり改正します。

第4号議案 第11期管理組合法人役員の選出に関する件

 理事長(代表理事)   (1名)
 副理事長        (1名)
 会計担当理事      (1名)
 理事          (6名)
 監事          (2名)
  以  上


別紙2<管理組合の法人化にあたっての主な管理規約改正項目>
 標準管理規約を例にとると以下の条文を改正する必要がある。

(1)管理組合法人の名称

  「管理組合法人」を必ず前か後に挿入する。(区分所有法第48条)
  例:「管理組合法人○○マンション」 「○○マンション管理組合法人」

(2)管理組合法人の事務所の所在地を明示する

  すでに事務所が存在する場合はその場所を住居表示で明示する。
  「事務所は理事長宅に置く」では、登記できない。

(3)役員

  1. 役員の選出規定を明示する。

    「理事及び監事は○○マンションに現に居住する組合員のうちから、総会で選任する。」

  2. 代表権を有する理事を明示する。

    (代表理事を選出しなければ理事全員が代表となる。)
    「理事長は、区分所有法第49条第4項に定める管理組合法人を代表する理事とし、その旨登記するものとする。」条項を新設。
    「理事長は区分所有法に定める管理者とする。」という条項を削除

  3. 役員の任期

    役員の任期は、2年若しくは、3年以内の任期を定める(区分所有法第49条第5項)
    「理事長が退任するときは、後任の登記が完了するまでの間、引き続きその職務を行う。」旨を追加挿入する。

  4. 監事の任務

    <1>「監事は、理事又は管理組合法人の使用人と兼ねてはならない。」
    <2>「監事は、理事長と管理組合法人との利益が相反する事項並びに理事長・副理事長とも管理組合法人との利益が相反する事項については、管理組合法人を代表する。」
    <3>「監事は、理事長、副理事長の両方が欠け、代表する理事がいなくなったときは、管理組合を代表するものとする。」を追加挿入する。

(4)議事録等の保管

保管は、法人の事務所で行うということと、「会計年度末の財産目録」「組合名簿(組合員の変更あるごとに訂正したもの。)」を追加
以上


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