大規模改修工事体験談

 福管連では平成18年7月8日、天神ビルにおいてマンション改修セミナーを開催しました。今回は、その中で、大規模改修工事を終えたばかりのヒューマンズ新宮駅前管理組合の佐場 敏正理事長様及び小田原 勇修繕委員長様の大規模改修工事体験談(概要)を紹介いたします。(文責:福管連)


1 佐場 敏正理事長様 −連帯感醸成と修繕委員特に委員長の人選が重要−

 私どものマンションは、JR筑前新宮駅のすぐそばにありますが、企画した設計事務所、施工会社、販売会社のいずれも倒産し無くなっており、大規模改修について相談先が皆無という不幸な状態の中で今回の改修に取り組みました。

 私どものマンションは、50の住戸と3戸の店舗で構成されていますが、居住者相互の面識があまりありません。しかも役員は1年交代輪番制です。これでは改修工事も大変と思い、連帯感の醸成を目標に、挨拶運動、花見の開催、バザー、ガレージセール、ウォーキングなどを住民に呼びかけ実行しました。

お 金 が 足 り な い !
 理事長になって、一番頭を抱えたのは、お金が足りないということです。それで、まず、消防設備点検料を他の業者から見積もりを取ったところ、現在の5分の3程度でした。次にエレベーター保守料を直接保守業者に問い合わせたところ返事がありません。これは安くなることだと予測できました。次に、管理委託費について、別の管理会社に見積もりを求めたところ、1年間で約200万円安くなる金額が出ました。14年間で2800万円になります。最初からこの金額でいけば金は充分足りていたのです。管理会社と交渉を行い管理費を大幅に切り下げることができ、ようやく財政の見通しが立ちました。

 次に取組んだのは、修繕委員会の立上げです。委員は輪番制にしようとの意見が多数でしたが、改修という大きな行事に取組むためには指名制が必要と主張し了解を得ました。そうして、修繕委員とくに修繕委員長の人選が大切と考え、現在の委員長に強くお願いして修繕委員長を快く引き受けていただきました。修繕委員長の役割、存在はすごく大きいものです。改修を成功に導いた大きな力になりました。これから改修に取り組もうとしておられる方のご参考になればと思います。

 改修に取組む前に、福管連にいろいろと相談をしました。そうして福管連と顧問契約を結び、総会への参加や細部にわたって指導を受けました。これも修繕が成功した大きな推進力だと思っております。この中で、工事の進め方として設計監理方式がよいのではないかとアドバイスを受け、そのとおりに進めてまいりました。おかげで改修も順調に進み、一部手直し工事を残すものの、ほぼ、工事を終え、喜んでいるところでございます。有難うございました。

2 小田原 勇修繕委員長様 −大規模改修でマンションのグレードアップ−

(1) 建物の特徴

 平成3年9月竣工、築14年。
鉄筋コンクリート造地上8階地下1階。 住戸50戸、店舗3戸。3LDK〜4LDK。地下駐車場30台。上階に行くほど戸数が少なくルーフバルコニーが多い。V字型雁行設計。

(2) 修繕委員会の立上げ

 平成16年11月通常総会で修繕委員会設置の細則を承認(工事の1年半前)。

 委員を公募するも応募者なく、理事長の尽力で修繕委員会は立ち上がりました。修繕委員4名、理事長、副理事長を含め6人体制でスタートしました。メンバー全員建築には無関係であり、手探りの状態で進みましたが、その中で最も参考になったのが、福管連版「マンション改修の手引き」でした。

 表紙に「すぐに役立つ」と書いてありますが、まさにそのとおりです。大規模改修を成功させる取組みとして(1)過去の失敗事例をよく学んでおくこと、(2)改修工事の流れを把握すること、(3)よいコンサルタントを選ぶこと、(4)情報は公開すること、(5)賃借人に対する周知を忘れないことと書いてありました。

 まさにそのとおりを基本として取り組みました。また、改修工事の唯一相談相手になっていただいたのも福管連でした。総会に来ていただき大規模改修の初歩から、設計監理方式のメリット・デメリットにいたるまで説明をしていただきました。

(3) 修繕委員会の取組み

 改修工事の1年前から修繕委員会は取組みを開始しました。まず臨時総会を開催し@改修工事の実施、A大規模改修工事は普通決議事項とする規約改正、B施工方式は設計監理方式を採用、の3点の承認を受けました。

 設計監理者から改修設計と工事概算額提出を受け、新年に入り3回目の総会を開催し、施工会社決定と施工金額の承認を受け、改修工事に入りました。

(4) 改修工事の主な特徴 −マンションのグレードアップ−

 1. 建物玄関入口ドアを手動の観音開きから自動ドアにしました。
 2. 防犯カメラ台数を11台に増やし、EV内にモニター付きカメラを設置。
 3. 福祉対応のスロープを設置、階段室には手摺を設置しました。
 4. 砂場を撤去し、駐輪場を増設。雨風防止用のパネル、防犯カメラを設置。
 5. 廊下やバルコニーは、モルタルから滑り難い塩ビシートに変更。
 6. ベランダの避難ハッチを腐食し難いステンレス製に変更。

 17年3月にスタートした修繕委員会は、現在までに計32回開催、総会は3回開催、広報誌は19号まで発行しました。竣工検査は、業者任せでなく修繕委員会でも直接確認チェックを行い、その結果発見された手直し部分もありました。

 いよいよ工事は終盤に入り、数ヶ月あつた足場も取り外され、グレードアップした環境の中、新鮮な気持ちで夏を迎えることができるものと期待しています。


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