首切りを免れた国立大学通りのマンション
− 最高裁 景観利益の侵害とは認めず −
 「クリオ レミントン ヴィレッジ 国立」は、平成13年に東京都国立市に建てられた地上14階建て354戸、高さ最高43.65メートルのマンションです。

 美しい桜並木で知られる大学通り沿いに建てられたために、近隣の桐朋学園や居住者などから「日照や景観で被害を受けているので高さ20メートルを超える部分は撤去せよ」と東京地裁に訴えられました。

▲国立大学通りの「クリオ レミントン ヴィレッジ 国立」

 東京地裁では、平成14年12月に「景観保護に努めてきた住民には保護すべき景観利益があるので、建物の高さ20メートルを超える部分は撤去せよ」との判決を出し世間を賑わせました。

 しかし、平成16年12月、東京高裁の控訴審では「良好な景観は行政政策で保護されるべきであり、個々の住民が私法上の権利として景観を享受する地位にはない」として、一審判決を取消し、住民敗訴となりました。


乱開発に警鐘 「景観利益は法の保護対象」と最高裁

 この上告審判決が平成18年3月30日最高裁第一小法廷で言い渡されました。そのなかで「良好な景観に近接する地域内に居住し、その恵沢を受ける利益(景観利益)は法律上保護に値する」としながらも「これらの保護は、第一次的には法規や条例等によって定められるものであり、この建物が着工された時点では国立市の条例は定められていなかったので違法建築物とはいえない。また、高さを除けば周囲の景観の調和を乱す点はない」として、住民側の上告を棄却しました。

 この判決は、住民側が敗訴したものの、判決理由で良好な景観の維持が近接する住民の利益に当り、侵害された場合損害賠償を請求できるとして地域住民に「景観利益」を認めた点は評価できます。乱開発の反省として平成16年12月に景観法が施行されたのも、この訴訟が影響しています。

 しかし、法律上の強い権利としての「景観権」までは認められませんでした。景観利益の違法侵害が認められるのは「刑罰法規や行政法規の規制に違反した場合」と例示しています。住民が各地域の美しい景観を守るためには、景観法を活用していくことが第一です。地方自治体が「景観計画の指定区域」や「景観地区」を指定するように住民が働きかけることからスタートする必要があります。


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