分譲マンションにおけるアスベストとその対応について
(株)コンクリート診断センター福岡支店一級建築士・マンション管理士 沼田 俊秀
1. アスベストの特徴。
  • 繊維状の鉱物である。(カナダ産が多い)
  • 燃えない。
  • 腐らない。
  • 熱や薬品に強い
  • セメントや、ロックウール(人工石綿)と親和性があり、混入すると構造的な補強効果があり安価である。

2. アスベストの有害性
  • 飛散した粉塵を吸入することにより、以下のような健康障害が発生する恐れがあります。
    1)石綿肺〔潜伏期間 9〜46年〕
    2)肺がん〔潜伏期間 19〜35年〕
    3)中皮種(ガンの一種)
    〔潜伏期間 11〜46年〕

3. マンションのどこに使用されたか
1)吹付アスベスト(綿状の吹付材)
 使用場所と目的
  • エレベータ機械室やポンプ室の壁・天井面に吸音目的で吹付けられた。
  • 鉄骨に耐火被覆のためにその表面に吹付けられた。
  • 鉄骨造の屋根折板等の天井に断熱目的で吹付けられた。
  • 注)類似品でロックウール(岩綿)があるが、人造物で粉塵発生源ではあるが、発がん性は確認されていない。ただし平成元年までの製品はアスベストが混入された恐れがあり、分析が必要である。
2)成型板等二次製品
  • 床ビニールタイル、天井吸音板、不燃ボード(台所や水廻りの部屋の壁、天井材に多用された)、波型スレート、サイディング材、成型セメント板等があるが破損しない限り問題はない。 

表1 アスベストの使用期間


4. 吹付けアスベストの調査方法
  1. 建築年月を調査し、平成元年までに吹付けられたかどうかを確認する。

  2. 建築設計図の仕上げ表の欄で、天井か壁に石綿吹付か、又は下記商品名が記入されていれば、アスベスト混入の可能性が高い。
    (トムレックス、ブロペスト、コーベックス、スプレーコート、スプレエース、サーモテックス 、スターレックス、リンペット、タイカレックス、オバベスト等)
    その場合アスベストの有無を、専門業者を通じて公的分析機関に依頼し分析する必要があります。(1サンプル当り約4万円と納期が2ヶ月程度必要です。)

  3. 調査の結果混入しており、吹付け表面が浮き上がり、脱落や垂れ下がり状態にあれば、飛散している恐れが有り、石綿除去工事をお奨めします。

  4. 飛散しているかどうかを調べるには、エアーモニタリングを専門業者に依頼します。10本/L以下のアスベスト濃度であれば健康障害をおこす可能性は低く、改修や解体までの間、定期的な検査ですませることが出来ます。
    (1カ所1日測定で約6万円必要です)

  5. 石綿含有内装材やPタイルについては、分析しないと含有しているか否かは不明です。しかし破損していなければ、健康障害をおこす可能性は低い。万一欠損している場合はビスを外して貼リ替えたり、シールや塗料をその破断面に塗布し、飛散しないようにすることをお奨めします。

    もし飛散の可能性が高く、すぐに着工出来ない場合は、現状を組合員に情報公開し、室内への立ち入りを制限し、場合により保護マスクを着用して立ち入ります。落下した飛散物の清掃と開口部の目張りをアスベスト専門業者に依頼します。

5. アスベストに関する現在の法規制
 平成17年7月1日施行された「石綿障害予防規則」により、下記のことが建物所有者(管理組合も含む)に求められています。

 事業者はその労働者を就業させる建築物に吹付けられた石綿が損傷、劣化等によりその粉塵を発生させ、労働者がその粉塵に暴露するおそれがあるときは、当該吹付け石綿の除去、封じ込め、囲い込み等の処置を、講じなければなりません。(石綿則第10条)

 また同条に建築共用部においても同様の措置を講じる必要があると記されており、マンションの共用部分にも適用されると判断されます。 

 石綿処理工事は処理対象と規模によりその単価は異なりますが、除去面積が50m2程度のエレベータ機械室の場合、工期が監督署等への計画書提出から工事完了まで約3〜4週間必要で、その費用は250万円程度必要となります。


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