「15階建てのうち4階以上は建ててはいけない」
− 北九州市商業地域で建築禁止仮処分命令 −

 北九州市にあるAマンションの役員及び区分所有者5名は、西南側に地上15階112戸のB賃貸マンションの建設を計画している土地所有者B1及び施工会社B2に対して「建物その他工作物を設置してはならない」との仮処分申立をしていました。

これに対して、さる10月6日、福岡地方裁判所小倉支部(松本清隆裁判官)では、「4階以上の部分の建築工事をしてはならない」との決定をくだしました。

 Aマンションは平成元年に建築された10階建てのマンションですが、この建物と同一区画内の南側に、昭和56年に8階のCマンションが建てられていました。

 Bマンションが建つことによって、Aマンションの2階床レベルで11時から日影となり始め、16時にはマンション全体が日影で覆われることになるのです。しかも、Cマンションからの日影もあり、複合した日影では、14時前にはAマンション全体が日影となるのです。

 Aマンション南側の眺望もCマンションだけでは、東半分の8階以下が幅10メートルの範囲で阻害されていたのが、Bマンションが東西方向32メートル、高さ43メートルにわたって建築されますので、大きな高い壁が出現したような眺望になり、遠景はほとんど視野に入らなくなります。さらに、Bマンションは、北側を廊下の通路とするので、Aマンションのベランダと向き合うことになります。

日照阻害・圧迫感・プライバシー侵害

 このようにBマンションの建築によってAマンションは、日照阻害、圧迫感、プライバシー侵害の危険などの点で、その住環境を著しく悪化させるものとして、裁判所は、「人格権的利益を受忍限度を越えて侵害し違法」であると認定し、4階以上が建築されなければ、一定時間日照も確保され、圧迫感やプライバシー侵害の危険も相当程度除去されるということができるとして4階以上を建築禁止としました。

 また、用途地域は商業地域ですが、この周辺の土地の利用状況は商業ビル等が軒を連ねているという状況に程遠く、相当程度に良好な日照や眺望を享受でき、今後もこのような住環境が継続すると推認できるとしました。

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 商業地域であれば、建築基準法の用途地域の規制はなく、他の建築物にどのような影響を与えても差し支えないとする一部デベロッパーに大きな警鐘を鳴らす決定といえます。


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