滞納管理費回収のポイント(1)
―破産の場合の管理費の回収方法―
中島法律事務所
弁護士 中島 繁樹

1 破産の場合の
  二つのパターン

 統計によりますと、200世帯あるマンションでは、1年間でその中の一人ぐらいは破産者が出てもおかしくない現状にあります。
 破産した場合に、滞納管理費がどうなるかを整理して説明しますと、二つのパターンがあることを理解してください。一つは破産管財人が選任されない場合、もう一つは破産管財人が選任される場合です。 

 破産の手続は、通常は弁護士に頼んで、いろいろ準備してもらって裁判所に破産の申立てをします。自己破産では弁護士に頼んで自分の名前で裁判所に申告するわけですが、普通は申告してから1ヶ月前後で破産宣告になります。
 その破産宣告と同時に破産管財人をつける場合とつけない場合の2通りに分かれます。ほとんどの場合には破産管財人はつきません。それは、破産宣告決定書という裁判所から発行されて債権者に送られる書類を見れば分ります。破産管財人が選任されていれば、その書類に、破産管財人の名前が書いてあります。普通は弁護士です。住所はどこ、名前は何と書いてあります。それが書いてない場合には、「本件破産を廃止する」と書いてあります。破産管財人はつけないで、すぐ終わりにしてしまうという意味です。破産宣告と同時に破産手続が廃止になるという意味の廃止です。

2 破産管財人が選任されない場合

 破産管財人がつくかつかないかが回収ができるかどうかの分かれ道です。破産管財人がつかないという意味は、もう財産が何もないからこれ以上手続を進めても無駄であり、破産宣告したら即終わりで、破産管財人をつける費用さえないということです。
 この場合はもう滞納者からの回収は諦めてください。いずれ名義が変わることがあるでしょうから、名義が変わったところで、新しい区分所有者に対して滞納分全額を請求してください。破産した以上は、破産宣告の前日までの滞納分については、本人に対する請求は一切諦めるしかありません。破産宣告の日以降の管理費については本人に請求することができます。しかし実際には支払いの能力はないでしょう。

3 破産管財人が選任された場合
 
 破産管財人がついた場合、破産管財人に払う給料分ぐらいは最低ある、そし て破産管財人が働いて、財産を全部お金に換えてそれを配るという予定があ る、という意味です。ですから、管理費の回収の可能性はかなりの程度ある と考えてよいわけです。管理組合として大切なのは、その破産管財人に対し て、請求書を送り続けるということです。いずれ破産管財人が財産を全部お 金に換えて配当する時期がきます。その配当のときに管理費用も払って貰う ことになるわけですから、請求書は破産管財人宛てに送り続けることが必要 になるわけです。その場合に、どの程度取れるかは財産の蓄積具合によります が、多分いくらかは取れるはずです。

4 破産宣告日の前と後で違う取扱い

 破産管財人がついている場合のことを説明しますと、考え方として、破産宣告の日より前と後では管理費の扱いが全然違います。破産宣告の日は、裁判所からきた通知書に書いてあります。何月何日午前10時破産宣告、なぜか、午前10時宣告というのが多いのですが、そのように書いてあります。この破産宣告の日より前の滞納分は、先取特権の対象なのです。管理費には、先取特権という特別の権利が区分所有法で認められています。破産管財人が財産を最終的に分配する場合に、管理組合は先取特権を行使して他の債権者よりも優先的に配当して貰うことができるということです。
 宣告より後の分はどうかというと、マンションは財産であり、管理費はそう いう財産を維持管理する費用ですから、法律上は、優先的に配当の権利が認められています。破産法にいう財団債権です。ということで破産宣告後の管理費も請求書を送り続ければ、財団費用として、お金があれば優先的に貰えることになります。
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まとめていいますと、破産宣告を受ける前は先取特権がある、また、破産宣告を受けた後は財団債権として優先権がある。両方とも優先権があるわけです。両方回収できればいうことはないのですが、お金がそれ程ない場合もあるわけで、その場合は財団債権が優先して、それが充たされた後、先取特権になります。財団債権以外では、抵当権がついていれば、抵当権者が第一順位、税金債権がその次、三番目に先取特権となります。実際にどれくらい回収できるか不安ではありますが、財団債権があれば、これが第一優先ですから、これくらいはとれる可能性がありますから、請求書を続けて送付してください。


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