≪判例紹介≫
管理費滞納は共同の利益に反する行為
― 競売請求は認められるが使用禁止はだめ ―


 ◇ 平成14年5月16日大阪高等裁判所判決:
   ビル使用禁止、管理費等請求控訴事件

 区分所有者Yは、平成3年9月から平成12年まで管理費を滞納していました。管理組合は、この管理費の滞納は共同の利益に反する行為として、1.Yの専有部分の使用禁止と2.滞納管理費の支払を求めて大阪地裁へ提訴しました。
 一審の大阪地裁では管理組合の訴えを認めて、1.Yによる専有部分の使用を2年間禁止する。2.滞納金1348万円と遅延損害金を支払えとの判決をくだしました。この判決は、管理費の滞納は「共同の利益に反する」として、区分所有法58条による専有部分の使用禁止を命じた初めての裁判例として話題に上りました。
 控訴審の大阪高裁では、これに対して、次により使用禁止は認められないとしました。

  1. 平成3年から、平成12年まで1348万円の滞納は、期間及び金額の双方で著しいものがあるとして「区分所有者の共同の利益に反する行為」に当たることは認められる。

  2. しかし、専有部分の使用を禁止することにより、滞納者が滞納管理費を支払うという関係にあるわけではない。滞納と使用禁止とは関連性がないので、滞納者に対して使用禁止を認められるべきものではない。

  3. 滞納に対して、区分所有法59条の競売請求は認める実益があり、要件をみたす場合は競売請求をすることができる。

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 管理組合は使用禁止だけを求め、競売の請求はしていませんでしたので、結果として、折角の大阪地裁の判決が、否定されたことになりました。しかし、多額の管理費を滞納することは共同の利益に反する行為であり、区分所有法による競売請求が認められるとしたことは、管理組合の日常の滞納整理に当たっての大きな自信となるものといえます。



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